2026.11.2
新米を祝い
音楽を鳴らす
ー 南魚沼収穫祭2026 ー
新米の季節を迎えた新潟県南魚沼市。スキー場などの山々に囲まれたこの土地に、音楽や食、そしてローカルカルチャーを求める人々が集まった10月17日、石打丸山スキー場の「ザ・ヴェランダ石打丸山」で開催された「南魚沼収穫祭2026」。南魚沼の食文化を感じられるフードや地酒、多彩なショップが並ぶマーケット、そしてジャンルを横断するアーティストたちのライブが一堂に会する、秋のカルチャーフェスティバルだ。
2022年にスタートし、今年で5年目の開催となるこのイベントを主催するのは、南魚沼出身の貝瀬さん。米農家「貝瀬農園」を営みながら、クリエイティブチーム「Soil Works」を主宰し、イベントの企画や制作にも携わる。かつて東京でイベント制作の仕事に従事し、コロナ禍を機に地元へ戻った貝瀬さんが取り組んでいるのは、農業とカルチャーという、一見すると異なるふたつの領域を繋ぐこと。南魚沼といえば、日本一としても知られる米どころ。豊かな雪解け水や昼夜の寒暖差など、米づくりに適した自然環境に恵まれており、貝瀬農園も南魚沼市の旧塩沢町・吉山の地で大正時代から米づくりを続けてきた農園。長く受け継がれてきた土地の営みを守りながら、その魅力を次の世代へと伝えていく。貝瀬さんにとって農業もまた、南魚沼という土地を表現するための大切な手段にも感じられる。だからこそ南魚沼収穫祭は、単に地方で開催される音楽フェスではなく、地域の自然や食文化を土台に、音楽やファッションといったカルチャーを掛け合わせることで、南魚沼の新しい魅力を発信する場所になっているのだ。
会場へはゴンドラに乗って山を登り、日常の景色から少しずつ離れたどり着いた先に広がるのは、魚沼平野を見渡す開放的なロケーション。街なかのライブハウスやクラブとは異なる環境で、音楽と自然、そして人の営みがひとつの空間に溶け合っていく。今年のラインナップには、C.O.S.A.、Campanella、KM、SPARTA、鎮座DOPENESS、SUSHIBOYSらがメインステージを飾り、その他にもHIPHOPを軸に独自の表現を続けるアーティストたちが名を連ねた。


貝瀬農園で作られた南魚沼産コシヒカリが会場で提供され、終始長蛇の列だった。その土地で主催者が育てたお米を、実際の田園風景を眺めながら味わえることも、収穫祭ならではの体験となる。


タイムテーブルも全アーティストが見れるよう被りの時間がないので、最初から最後まで良音とパフォーマンスを堪能でき、ライブの合間には会場を歩きながらフードやマーケットを巡るのも楽しみのひとつ。地元の食文化を感じられる飲食店や、個性豊かな出店者たちが集まり、音楽を聴くことだけにとどまらない一日の過ごし方を提案。誰かがステージの前で音に身を委ねている一方で、食事を楽しむ人がいて、店先で商品を眺めながら会話を交わす人がいる。それぞれが自分のペースで楽しみながら、同じ場所と時間を共有する。フェスという場だからこそ生まれる、自由な距離感がそこにはあった。そして、このイベントを語るうえで欠かせないのが、南魚沼という土地そのものだ。つい最近のニュースでも、新潟県が日本で唯一、“2027年に行くべき世界に旅行先25選”に選ばれたほどで、日本有数の米どころとして知られ、豊かな水と自然に恵まれたこの地域では、食や酒もまた土地の文化を形づくる大切な要素となっている。収穫祭という名前にも表れているように、ここで味わえるのは音楽だけではなく、地域に根づいた食や人との出会いを通して、南魚沼が持つさまざまな魅力に触れることができる。一方で、南魚沼収穫祭が見せてくれるのは、昔から続く地域の営みだけではない。音楽やファッションをきっかけに人が集まり、新しいつながりが生まれ、土地のイメージが更新されていく。地元の人にとっては自分たちの街の魅力をあらためて発見する機会となり、遠方から訪れた人にとっては、これまで知らなかった南魚沼と出会うきっかけになる。ローカルとストリート、日々の暮らしと非日常。それぞれを切り離すのではなく、ひとつの場所で交差させることに、このイベントならではの面白さがある。
音楽を聴きに来た人も、おいしいものを目当てに来た人も、友人に誘われて初めて訪れた人も。それぞれの入口からこの場所に集まり、思い思いの時間を過ごしていく。そこから生まれる出会いや発見が、イベントを一日限りの娯楽にとどめず、地域のカルチャーを育てるきっかけになっていくのかもしれない。土地の恵みを味わい、音楽に熱狂し、人と人が交わる。南魚沼収穫祭2026は、地域の魅力を再発見すると同時に、「また来年!」と笑顔で言いたくなるほどに素敵で胸が熱くなるローカルカルチャーフェスティバルだ。

鎮座Dopeness


SUSHIBOYS
Nehan Yutaka & anddy toy store

Campanella



SPARTA

Neibiss


KM


C.O.S.A.

3268
- Photograph&Text_Genya Nakamura
INFOMATION
問:Soil Works
Web:shukakusai.net
Instagram:@shukakusai_minamiuonuma
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