FASHIONOTHER2020.05.3
ROOM IS STYLE
ストリートの遊び心を詰めこんで
VOL.02
17歳から住み続ける
玄関から3秒の3畳の城
hsmt(PRESS 4K / YouthQuake)
Ollie 2019年1月号 Vol.237より
DJをしたりポップアップをしたり、服を作ったり。東京を中心に活動するYouthQuakeと名付けられたクルーが、ここ1年ほどで一気にストリートの話題を集める存在に。そのメンバーのひとりである23歳のhsmtくんは、生まれも育ちも東京という生粋のトウキョウローカル。そんな東京ストリートの最先端を体現する彼の、杉並区にある実家の部屋へお邪魔します。
ROOM Questionnaire
1. 居住エリア / 杉並区
2. 居住年数 / 5年
3. 家賃 / ―
4 広さ / 3畳
5. 住んでいる家&街を選んだ理由 / 絶妙な田舎感
6. 駅から家までの距離 / 徒歩15分
7 部屋のお気に入りポイント / 部屋の改善したいところ
8 自分のライフスタイルが詰まっている / エアコンがない
9 次に住みたい街 / 中野
10 カッコいい部屋に住んでいる友達 / BIM先生とYouthQuakeのUdai
先輩&友人のモノと
U.S.のモノがMIX
「遅れちゃってすみません!」。事前に教えてもらった住所を、グーグルマップを頼りにして実家前で待っていると、今年の夏に買ったばかりの愛車で登場したhsmtくん。最寄り駅から歩いたら15分ほど、杉並区という都心部でありながら、閑静な住宅街という表現がピッタリのエリアだ。
さっそく家を案内してもらうと、玄関を開けてすぐの扉を開けて「ここが僕の部屋ですね、どうぞ」と言う言葉に少しびっくり。普通だったらリビングが先にあるのが定番だと思うけれど、hsmtくんの部屋は玄関からすぐの秒ほどだ。「実は、ここはリビングの一部みたいな感じで、壁じゃなくて扉でリビングと仕切って出来たスペースを、部屋として使っているんですよ」。
もともと中野で生まれ育った中、高校入学を機に歳で今の場所に家族で引っ越し、そこから今にいたるまでこの部屋で過ごしてきた。畳と決して広いとは言えないけれど、整理整頓が行き届き、目に入るものからはhsmtくんの好きなカルチャーを強く感じることができる。
「あまりごちゃごちゃしているのが好きじゃなくて。それに最近は仕事終わりに呑み行ったり、週末はイベントに行ったり、あとは友達の家にミシンとかを置いて作業したりするので、この部屋には寝に帰ってくるだけみたいなことが増えてきましたね」。
部屋に入ってすぐ右側には備え付けの棚があり、父親から「これ読んでおきなよ」と昔にもらった、『STUDIO VOICE』のジョニー・デップが表紙の不良特集号や、雑誌にスニーカーやブーツをディスプレイ。ジョーダンⅣは最近オークションでゲットしたそうだが、残念ながら2回ほど履いたら加水分解してしまったそう……。
お気に入りのLAのキャップは、豊富な種類がラインナップされ、その中に東京出身ならではの読売ジャイアンツのキャップも。NYではなくLAなのは、西海岸のローライダーなどのカーカルチャー好きの影響とこだわり。
その隣には、一緒にイベントを行ったりお世話になっているラッパーのBIMの新作キャップや、自身が所属するYouthQuakeのTシャツ、STUSSYのマグカップなどの小物や、車好きのhsmtくんにとって憧れの1台であるGTRのトミカ(ミニカー)などが、センス良くディスプレイ&収納されている。
限られたスペースを
上手く使ってディスプレイ
自分が過去に掲載された雑誌などは、備え付けの棚の中に収納し、服もすべてクローゼットの中に入れられ、生活感をあまり感じさせない。よく履く“軍”のスニーカーは、部屋の床に並べるというマイルールが面白くて、スニーカーはハイテクな感じよりも、ベーシックなタイプが好み。
部屋に置かれたデスクには無数のステッカーがボムられていて、最初は重ならないようにと考えていたけれど、途中からはただただ好きなように貼るようになった。そのデスクにはミシンとノートパソコンを置き、A$AP ROCKYとPALACEのレコードも。シンプルなデスクまわりからもhsmtくんのスタイルが窺え、デスクが置かれた壁の窓の障子からは、日本ならではのノスタルジックさも感じる。
アイロン台は服にアイロンをかけるのはもちろん、シルクスクリーンを刷る時などの作業台としても使用。そのアイロン台には、自身のプライベートブランド的な“CARSERVICE”のステンシルが、無数に施されている。
リビングとの仕切りになっている扉には、フランスのカーショップから出ているポスターや、JACKPOTのHarumaが行ったエキシビジョンのスーパーボール、上山悠仁氏がデザインしたポスター、さらにLAを代表するグラフィティクルー“THE SEVENTH LETTER”のメンバーによるサインが描かれたTシャツに、カナダ発のカルチャー・マガジン“SNEEZE MAGAZINE”など、趣向性の高いアートものをディスプレイ。
部屋全体を通して、限られたスペースを最大限上手く使い、ごちゃごちゃせず1点1点見やすいのがポイントだ。「好きなモノだけを出して、あとは収納して見せないようにしてますね」。
人柄ともリンクする
最先端のセンスと素朴さ
世の中的に有名なメーカー&ブランドの家具があるわけでもなく、畳という広さはどちらかと言うと狭いけれど、hsmtくんの部屋からはインテリア雑誌などには載っていないカッコよさ&面白さ、そして実家だからなのか居心地の良さも感じられる。
「よく遊ぶのは渋谷とかだから、そっちにアクセスしやすい私鉄沿線に住んだほうが便利なのかもしれないですけど、生まれ育ったJRの総武線や中央線沿線に乗ると、やっぱり“帰ってきたなー”ってほっとする感じなんです(笑)。今は車にも週3回くらい乗るし、次は生まれ育って友達もたくさんいる中野に住みたいですね」。
そう話してくれたが、実はこの取材にはオファーした段階から、ちょっとした裏話的なものが。「家族みんなで12月にこの家を出て、近くに引っ越すんですよ。歳から年間住んだ家だから思い出もたくさんあって、こうやって取材してもらってOllieに載せてもらうのも、この家での最後の思い出ですね。あとは、前にBIMくんの部屋とかがOllieで紹介されていて、“カッコいいなー”って思っていたのもあって(笑)」。
東京ストリートの最先端で話題の歳の若者の部屋からは、好きなモノを上手にディスプレイするセンスと、自分のルーツを大切に背伸びしすぎない空気感が窺え、それがhsmtくんのスタイルそのものと言える気がする。
- Ollie 2019年1月号 Vol.237より
- Photograph _ Ryo Kuzuma
- Design _ Takafumi Iwatsuka
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