
2022.09.26
2人のアーティストの共同個展は
来場者の胸に残る温かいモノが
ー WORLD PEACES ー
裏原エリアにセレクトショップを構える〈offshore tokyo〉のギャラリー〈offs gallery〉にて8/25~9/4の期間、「WORLD PEACES」と題して、アーティストのRyota Daimonと、今年の5月に逝去されたSeiya Bowserによる、生前から決まっていた共同個展が開催された。今回はその個展が開催されるまでの背景を、offshoreストアマネージャーの島村さんと、Daimonへのインタビューを通して紐解いていきたい。
遡ること去年2月のDaimonによる「ダイモン展」。そして同年11月にはSeiyaの個展「Peace on you」が、offs galleryで開かれたのがコトの始まりと言える。今年に入り、街中でSeiyaと島村さんが次の個展についての会話になったところ、今度はDaimonとoffshoreでやりたい旨を聞く。それを聞き率直に、アーティストとして同じ場所で、連続で個展をする事に対して心配していた島村さんが、やろうと決断した理由には「実はSeiyaには、他の場所とか紹介出来そうなところ探そうか?という話もしていたのですが、Seiyaはそんな有名なギャラリーとか広いギャラリーとかじゃなくて、今はローカルでやりたいって言ってて。最初それ聞いた時によく分かんなくて(笑)。そしたらDaimonが、違うよ!ローカルっていうのは、ホーミーみたいなとこでやりたいって言ってるんだよっていうのを教えてくれて。それを聞いてマジか超アツいじゃんってなって。Seiyaってあんま直接言わないから、そんな風に思ってくれてたんだって。」
共同個展の開催が決まり、DaimonとSeiyaの間では会うたび個展についての話が進み「Seiyaからどんどん内容どうする?とか、今決めようとか言ってくれてたから、個展のテーマが決まってた。コロナ明けてみんな旅行とか行けてる時期なんじゃないの?じゃあみんな外に出ようとか、そういう意味のテーマにしようって。」こう言った会話や連絡から、凄い熱量を感じていたDaimonは、惜しくも意志を受け継ぐ形での個展となったが、島村さん含め、中止する決断は眼中になかった。
「やりたいことをやろうよって言うのが元だったんで、こっちがあれやってこれやってって言うのじゃなくて、DaimonとSeiyaがやりたかった事をそのままやれればいいなって。」という島村さんの言葉通り、個展に足を運んだ仲間や来場者には、素直に二人の想いが伝わり、温かい雰囲気の共同個展となった。両アーティストの気持ち・熱量ももちろん大切だが、それを支えるギャラリー側の想いも相まって、デジタルでは伝わらない、会場の空気感は繋がる先にある大切なモノが感じられた。
最後にDaimonへ、この質問を投げかけてみた。
ーもしこの個展を終えた時、Seiyaに何か伝えられるとしたら?ー
「単純に誰が来たとか。例えばChito(※1)とか絶対Seiya好きだし、Chitoが始まる前に二回も来てくれて、Seiyaの作品全部写真撮ってた事とか。そんなの本人嬉しいだろうし。あとは何箇所かやりたがってたギャラリーがあるから、そこを俺がやるっていうのもちょっと違うんだけど、でもSeiyaがやりたかった事とか、持ってた夢があるなら、俺はそれを代わりにやりたいっていう気持ち。前に俺がoffs galleryで展示やってた時に、Seiyaが子年で俺が丑年なんだけど、“干支で牛の背中にネズミが乗って、ゴール手前で降りてゴールしたっていう話があるから、乗せてよー”って言ってきた事があって(笑)。よく分かんねーって思ってたけど、よくよく考えてみたらそういうことか!って。そういう意味ではoffs galleryを紹介したいなって気持ちが湧いてて。だから今後もそれを続けたい。」
(※1)シアトル生まれのメキシコを拠点とするグラフィティーアーティスト。
- Photograph _ Haruki Matsui
- Text&Edit _ Genya Nakamura
offs gallery / offshore tokyo
HP : https: offshore-tokyo.com
Instagram : @offs_gallery@offshore_tokyo
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