FASHIONSKATE2020.06.20
知る人ぞ知るパンツの復刻が
スケーターを夢中にさせる
-Lee Pipes-
ワイドシルエットなパンツは、トレンドというよりも数年前からスタンダードになりつつある。街を歩けば、太めのカーゴパンツをロールアップしたり、オーバーサイズのスラックスで、あえてのイナタいコーディネートを楽しんでいたりと、さまざまなスタイルを見かける。そんな中〈Lee Pipes〉が復刻するというニュースが届いた。デニムカンパニーのLeeから1997年に発売された本シリーズは、90sフレイバー全開の極太なシルエットやロゴデザインが魅力で、現在でも一部のスケーターや古着好きなどのマニアたち探す貴重なアイテム。そして、Ollieでもお馴染みの古着屋I&Iのスタッフ田波くんは、古着屋で見つけたら買い占めることもあるという、大のLee Pipesファン。そんなわけで今回は田波くんが提案するスタイリングとともに、Lee Pipesの魅力をたっぷりとお届けしよう。
遊び心が宿るフラッシャーと
ラフな履き心地に魅せられる
スケーターでありながら、モデルにDJなど様々なシーンで活躍する田波くん。奇抜なヘアスタイルやジャンルレスなスタイルから、ユニークさと一つの枠にとらわれないオリジナリティが伺える。今回紹介するLee Pipesは、少し前まではあまり古着屋でも見かけることが無かったアイテムだけど、だからこそ田波くんの天邪鬼な琴線に触れたのかもしれない。そして、このパンツと出会った時にまず惹かれたのが、遊び心の詰まったフラッシャーだ。「高円寺にANAMEという、I&Iとも感覚が似てる古着屋さんがあるんですが、そこで2年前にデッドストックのLee Pipesのバギーパンツ全色(ブラック、ベージュ、ライトブルー)を見つけたんです。まず手に取ったら、デッドストックのデニムでよく見かけるフラッシャーという、写真や絵などが印字されているタグが付いてたんですよね。そこには何の(スケート)トリックをやってるのか全然分からない写真がプリントされていて、それがメチャクチャいいなって思ったんです(笑)」。さらに上に書かれている“BIGGER WIDER COOLER”なんていう直球すぎるワードも、良い意味でチープだし最高なのだそう。もちろんパンツ自体もラフだけどゆるく見えないクールなデザインや楽チンな穿き心地など、かなり気に入ってるそうで、裾が破れるまで大切に穿き続けているのだとか。
豊富で粋なラインアップが
スケーターの心をくすぐる
さて、早速今回復刻されたLee pipesを田波くんに手に取ってもらうと「バギーで濃いインディゴはヤバいですね!バギーの古着ではなかなか見ないカラーなんですけど、Lee Pipesでも初めて見ました」という好反応。バギーパンツは従来のブラック&ベージュに加え、ダークブルーもラインナップしているのが、ファンに向けたブランドの粋な計らいだ。また、スラム(=スケート中に派手にこけること)してもへっちゃらなタフな生地や、股上が深く足を動かしやすいシルエットは、まさにスケーターにとっては最適な仕上がり。田波くん的に着こなしのアイデアとしては、「イエローブーツとかを合わせて、モロ90sのノリで穿きたいです。でも逆にこの丈だとボリューミーな靴だけじゃなくて、ローファーとか平たい靴も似合いそうですね。最近の女の子が作ってるバランスみたいに、裾を引きずる直前くらいまでのウエスト位置で、つま先がちょこっと見えるバランスで穿くと超面白いのかなって思います」。そして、バギーパンツだけでなく、ショーツやオーバーオール、ロンTなど、復刻ならではのスペシャルなラインナップにも注目したい。その中でもオーバーオールは、異素材の切り返しが目を引くデザイン。「レイブカルチャー(80s後半にUKで生まれた、ハウスやテクノとドラッグを楽しむ音楽イベント)の雰囲気がありますよね。切り返しだけじゃなく、ロゴのパッチワークとかはレイブファッションにおけるパンツの象徴だと思うんです。僕だったらロンTにDr.Martensとかを履いてシンプルに合わせたいですね」。
当時のカルチャーを感じながらも
自分の琴線に触れる自由なスタイルを
そう田波くんが話してくれたように、Lee Pipesは”ただ太いだけのデニム”ではなく、その奥には当時のカルチャーや空気感が宿っている。「ぶっちゃけ言っちゃえばバギーパンツは(かさばるから)スケートしづらい面もあるんですけど、単純にカッコつけたいんですよね(笑)。でもそれが一番重要で、モチベーションをあげたいからバギーを履いています」。今回の復刻がクールで楽しいのは、一部のマニアや古着好きの大人たちだけじゃなく、シンプルに現在進行系のストリートのトレンドや気分ともマッチしているから。90年代当時のストリートの匂いもありながら、新たなモデルやカラーのラインナップも魅力だし、各々のセンスで自由にスタイルを楽しむのが最高だ。
- Photo _ Ryo Sato
- Model _ Hikaru Tanami
- Special Thanks I&I STORE
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