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インディペンデントなスタイルの原点<br>NYストリートカルチャー、ZINEに惹かれて<br>– BLANKMAG –

BLANKMAGが自身で制作したSupremeのファンZINE。

インディペンデントなスタイルの原点
NYストリートカルチャー、ZINEに惹かれて
– BLANKMAG –

約25年に渡ってNYのストリートカルチャーを追い続け、コレクターであるとともに、自身のレーベルを運営するBLANKMAG。過去には発表したコレクションがSupreme NYCにストックされたり、今年の2月にはOllieでもお馴染みのユースクリエイターたちとコラボしたアイテムをDover Street Market Ginzaで発表したりと、ゲリラ的に発表するコレクションに度々注目が集まっている。今回はその中でもNYのアーティストと繋がるきっかけになったという『ZINE』にフォーカスして、BLANKMAGがインディペンデントな活動を続ける理由に迫りたい。

ここ最近、SNSでよく目にするようになった〈BLANKMAG〉という文字。世界中のアーティストとコラボをしたり、instagramアカウントを覗いてみるとなにやら面白そうなことをしていて、この文章を読んでいる人の中にもBLANKMAGって一体何なの?って気になっている人も多いはず。そこで、まずはBLANKMAGとは何なのか単刀直入に聞いてみた。

「アーティストとのコラボレーション、イベントの開催、ウエアコレクションの発表、ニッチなストリートカルチャーの紹介など、“自分自身が心底好きなもの”だけをテーマにしたアートプロジェクトです。5年ほど前に、これまでの自分のルーツを見直そうと思い、BLANKMAGをスタートしました。はじめはinstagramで自分がこれまでコレクションしてきたアーカイブを紹介しているだけでしたが、投稿を見て色々なところからお声掛け頂き、ポップアップなどでコレクションを展示するようになりました」。

約25年に渡ってニューヨークのストリートカルチャーを追い続けているというBLANKMAGだけど、初めてZINEを買って以降、ZINEの虜になったそうだ。

「一番最初にZINEを買ったのは2001年頃でした。スケーターであり、現在はライター、映画監督、キュレーターとして幅広く活躍するアーロン・ローズが主催するAlleged Galleryから発行されたZINEです。様々なテイストのアーティストの作品が載っていて、写真にドローイングやポエムが重ねてあったりして、こんなに自由でいいんだって思って、そこから一気にのめり込みました。特にクリエイティブな人たちがたくさんいるNYにおいて、最速かつ低コストで試したいアイデアやそのとき表現したいことをすぐに形にできる媒体として、ZINEはTシャツなどと同様にアーティストがとても大事にしている自己表現のツールだと思います」。

誰でも気軽に、そして自由に“自分”という存在を表現することができるZINE。日本のストリートでもアーティストやスケーターをはじめ、今では多くのユースたちが自己表現ツールとしてZINEを制作している。ではこれほどまでに日本に普及したZINEの魅力について、BLANKMAGはどのように考えているのだろうか?

「超有名なアーティストのZINEから、とても個人的なファンZINEまで色々なものがありますが、そもそも誰にも頼まれていないのにこだわりまくって作るってのがヤバいなと。そのとき表現したいものをすぐに形にできるスピード感。超短時間でめちゃくちゃ純度の高いものが完成する可能性が高いのが魅力ですね。自作のZINEも構想、ページ構成、プリント、ホッチキス綴じ完成まで半日ぐらいで作りました。振り切った内容で、作者の“らしさ”がストレートに出ているかどうかという点がZINEでは大切だと考えています」。

Ollieでもこれまでに様々なZINEを紹介してきたけど、どのZINE作品も作り手の“らしさ”がストレートに、そして自由に表現されていたと改めて感じる。

「自分の好きなものを共有したり、すぐに形にできる(発表できる)という点など、SNSとZINEは多くの共通点があると思います。だけどZINEは一つ一つ紙で制作するというアナログ感が良くて、デザインや紙の質感、サイズに綴じ方まで決まったフォーマットも無いし、作り手がこだわりまくって考えるから、独自の世界観を表現できるという点がSNSよりさらに魅力を感じる部分です」。

そう語るように、SNSを筆頭にデジタルが常識になっている今だからこそ、全てを自らの手で作り出すZINEにしか味わえないアナログの面白さがある。どんな紙にしようとか、どんな大きさが良いのかなって考える時間も楽しかったりする。そんなZINEは自己表現ツールであると同時に、コミュニケーションツールとしての魅力も持ち合わせている。BLANKMAG自身もZINEがきっかけで新たな出会いがあったと教えてくれた。

「今年の2月にコラボTシャツを発表したNY在住のペインター、ジャスティン・ヘイガーとの出会いはZINEがきっかけでした。昨年、NYABFというNYで開催されている世界最大のアートブックフェアに訪れたとき、友人がやっていたポップアップショップで彼のZINEに出会い、一目惚れして購入しました。とても面白いZINEだったのでinstagramで紹介したところ、ジャスティン本人から連絡があり、それからメールで色々とやりとりをするようになりました。あるとき彼からすごく良いアイデアがあると連絡があって、BLANKMAGのロゴを描き下ろしてくれました。彼なりにBLANKMAGのイメージをデザインに落とし込んでくれたことに感動して、Tシャツを作ることにしました」。

今でこそインディペンデントなスタイルで次々とコレクションを発表しているBLANKMAGだけど、そのスタイルの原点は『ZINE』にある。

「僕にとって“ZINE”とは、非商業的な自費出版物で、誰にも頼まれていないけど初期衝動で作るものだと思っています。非商業的な活動の方が自由度と純度が断然高いので魅力的です。多くの人は、“どうすれば売れるのか?”ということばかり考えていますが、BLANKMAGはそのシステムの外にあるインディペンデントな活動として、誰にも頼まれていないけどTシャツを作っています。“アパレル”ではなく、自分が好きなアーティストとZINEを作るような感覚で作る、とてもプライベートなコレクションです。だから真冬でもTシャツを発表します」。

冒頭でBLANKMAGとはアートプロジェクトであると話していた言葉の意味を理解することができた。BLANKMAGは売ることを目的としてアイテムを作っているわけではない。自分が作りたいときに、作りたい人と、作りたいものを“作品”として発表しているにすぎないのだ。“ZINEを作るような感覚”で作ったTシャツ、それは紛れもなく作り手の“らしさ”がストレートに落とし込まれた純度100%の作品だと言える。それが結果的に多くの人の心を奪い、今となってはBLANKMAGの作品を求めて、発売と同時に即完という形で表れている。今回の取材を通して、誰にも干渉されないインディペンデントなスタンスで、“自分自身が心底好きなもの”だけを追い求めるBLANKMAGならではのスタイルを垣間見ることができた。これからどんな面白いアイデアで我々を魅了してくれるのか、楽しみに待つとしよう。

 

− Information −

上質な国産Tシャツをキャンバスに
注目のアーティストが作品を発表

福岡のセレクトショップ、APPLE BUTTER STOREに縁のあるアーティストたちがデザインしたグラフィックが、ウルトラヘビーオンスの国産オリジナルTシャツにプリントされた特別なアートピースが6/27(土)にドロップ。アートワークはYohei Ogawa、udai(Youth Quake)、SPECDEEという新進気鋭のアーティスト3組が提供しているので、この記事で初めてBLANKMAGを知ったという人もこの機会に是非チェックしてみて欲しい。
*APPLE BUTTER SRORE、BLANKMAGオンラインストア(www.blankmagbooks.com)で販売予定。

BLANKMAG(ブランクマグ)

独自な視点でセレクトした情報を発信し、実態も謎のままアート、ファッションシーンを中心にカルト的な人気を誇り、ストリートカルチャーに深く精通した人々がその動向を常に気にするカルチャーレーベル。ストリートカルチャーに関するヴィンテージブック、ZINE、ポスター、アップカマーの作品など、厳選されたものだけを紹介している。@blank_mag

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