ARTEVENTFASHION2020.11.26
バーバー発のヘア写真集から
ストリートのリアルを感じて
DANPACHI by KENSHI SHIROMA
舐達麻やRYKEY、Daiaなどストリートシーンで活躍するラッパー&プレイヤーたちのヘアを一手に引き受け、様々なメディアで目にする機会も多い髪切り屋ことKENSHI。そんなKENSHIから、今年11月27日に『DANPACHI』というヘアスタイル写真集をローンチすることがアナウンスされ、その中の豪華すぎる出演者も各所で話題に上がっている。そんな最中、多忙を極めるカットスケジュールの合間を縫ってKENSHI本人から『DANPACHI』や自身のスタイルについてを聞いてみた。
節目の年にメイクした
今までにない写真集を
ーまずは『DANPACHI』を作ろうと思った経緯から教えてください。
KENSH(I以下K):去年の夏くらいから後輩のダイキ(DANPACHIディレクター)と色々話していたなかで、今回のアイディアが生まれたんですよ。正直その頃は実感が湧いていなくて、できたらいいなくらいの感覚だったんですけど、今年の2月から本格的に動き出しました。2020年はちょうど俺にとって、髪を切り始めて10年っていう節目の年だったので、何かデカイことをやってやろうっていうバイブスも乗っかりましたね。
ー今回モデルとしてシーンの第一線で活躍する人を含めた超豪華な顔ぶれが並んでいますが、どのような基準で選んだのでしょうか?
K:基本的にはお客さんとして普段から髪を切らせてもらっている人たちです。リアルに格好よくてイケてる芯を持った30人を選びました。地元沖縄の先輩から常連のお客さん、よく遊んでいるラッパーやタトゥーアーティストとか、生業や人種、出身も様々なんすけど、俺がリスペクトしているヤバいメンツっすね。もちろん皆さん多方面で活躍している人たちなんで、忙しかったり、大人の事情とかで、普通に考えたら集めるのは不可能なんですけど、KENSHIのためならって感じで快く協力してくれました。そこはマジで感謝とリスペクトしかないです。
ーいわゆるヘアカタログやへスタイルブックとは一線を画すような内容や構成に仕上がっていますが、そこにはどういった意図が隠されているのか教えてください。
K:俺らのスタイルをありのままに伝えたかったんですよね。髪型だけじゃその人のことは分からないじゃないですか。だけど世間にあふれているヘア本って、バストアップだけ撮って完成みたいな。あれは俺からしたらリアルじゃないんで。
ーポートレート以外にロケ撮影やアーカイブを入れたのもそういった理由からですか?
K:そうっすね。でも、ぶっちゃけバーバーって何?みたいな人も結構いると思うんですよ。そういった人たちにバーバースタイルの格好良さを分からせたい、だったら髪だけにフォーカスしても意味ないなって。だからこそよく分かんない人が見てもアガるような内容にしました。
PORTRAIT
下積みの期間で手に入れた
バーバーとしてのリアルな視点
ー今さらですが、写真集のタイトルにもなっている『DANPACHI』とはどういった意味なのでしょうか?
K:普通に意味わからないですよね(笑)DANPACH(Iダンパチ)は沖縄の方言で髪切りとか髪切り屋っていう意味なんですよ。字面もイケてるし意味合い的にも完璧だから、これ以外ないなって感じでタイトルにしました。やっぱ、最終的にDANPACHIという言葉を俺のスタイルとして世界に分からせたいんですよ。過去に仕事で台湾や香港、タイ、メキシコとか、結構いろんな国にカットショーで呼んでもらっているんですけど、バーバーカルチャーはどこに行っても根付いているので、この『DANPACHI』を持って各地でイベントをやれば、言葉は通じなくても、なんかいける気がするんですよ。まずは、11月27日からローンチイベントと写真展を原宿でやって、沖縄とか大阪でも何かしらやろうと。目標はマジでN.Y.でやりてえ。。。俺が美容業界に入って初めて行った海外がN.Y.だったんですけど、10年後はそこでやってるからよ、って10年前の自分に言いたいじゃないすか(笑)
ーつまり『DANPACHI』は日本のみならず世界も視野に入れているということでしょうか?
K:入れてますねー。そう言ってもおかしくないクオリティに仕上がっていると思うし、俺以外の関わってくれた人たち皆、その道のプロって感じだったので自信はあります。
ーフォトグラファーとしてクレジットされている森健人さんはどういった方か教えてください。K:今回の撮影が初セッションで、最初はどうなるか俺も分からないから不安もあったんですけど、いざ始まったら凄えアグレッシブで驚かされました。しかも滅茶苦茶バイブス合うし、最高の写真を撮ってくれましたね。やっぱプロは皆一緒で、一度道具握らせたら目の色が変わるんですよ。同じプロ目線でやってくれて、それは嬉しいし、森さんにしてよかったって思いました。他のスタッフもみんな全力でやってくれたし、最高のチームでしたね。連日炎天下撮影で、体力的にはしんどかったけど、日に日に終わっていくのが寂しくなる雰囲気が俺も含めチームにあって、なんかその時はエモかったす(笑)
ーそんな印象的な撮影を終えて何か発見などはありましたか?
K:実際のところ、俺は髪を切っているだけじゃないなって。俺が始めたことだけど俺自身が一番勉強になりました。普段はカットしてバイバイじゃないですか、でも今回はその後の外ロケも一緒に行って、街中で俺の作ったヘアスタイルを見れたのが新鮮だったんすよね。やっぱ目立つし、かっこいいっしょってなりました。バーバーとしてこの視点は大切にしようと、今回の撮影で今まで以上に理解できましたね。
ーその視点について詳しく教えてもらえますか?
K:まあ、簡単に言ったらリアルかフェイクかっすね。ウイッグって、いわゆるマネキンとか、俺ほとんど切ったことがないんですよ。あれは作品っすね、リアルじゃない。やっぱ、生身の人間は髪質が違ったり頭の形だったり、なによりその人自身のスタイルがあるから、それと比べると綺麗なマネキンはフェイクに感じますね。俺にとってのリアルは人それぞれのスタイルをいかにヘアで格好良く表現するかだと思っていて、カットの技術とかはそれ以前の話なんですよ。
ーそんなKENSHIさんにも下積み時代はあったのでしょうか?
K:普通にありますよ。下積みで磨いたスキルがあっての今です。当時はひたすらストリートで人に声をかけて、カット練習さしてくれって、やってました。それが現在のスタイルになってるのかもしれないですね。まあ、もちろんカット練習と同じくらい夜は遊んで(笑)その中でたくさんのイケてる人たちや、今回モデルとして出演してくれている何人かにもその頃に出会えているので、やっぱどっちも大事ってことすね。
LOCATION
世界を見据えて日本から放つ
“DANPACHI”というカルチャー
ー『DANPACHI』に出てくる30人の出演者のなかで、特に仲のいい人を教えてください。
K:本当に皆さんには普段からよくしてもらっているんですけど、RYKEY、Daia、SHITSUKIさんとはよく飯とかいったりします。自分が入れてるタトゥーも、今回出演してもらっている彫り師に入れてもらったりって感じなので、カット以外でも皆さんとはなにかしら繋がっています。
ーシーンの垣根を越えて活動するKENSHIさんにとって、MR.BROTHERSCUTCLUB本店(原宿)周辺のHOODカルチャーはどのように見えていますか?K:毎日お店には色んな人が来るんですけど、もちろんカットの人もいれば待ち合わせとか、ただゆくったり(沖縄方言でChillする)してるやつもいるって感じで、気づけば20人くらい集まってワン缶パーティーみたいなこともあります。だから、いい意味で最初は緊張するかもしれないけど、通えば問題ないし、自然と仲良くなるもんですよ。そういうバイブスは俺らだけじゃなく、原宿周辺のショップ界隈全体にHOODカルチャーとして残っている気がしますね。
ー10年前のKENSHIさんは現在のような状況をご自身で想像できていましたか?K:全然×2。上京してゼロからの状態で、友達もいないし知り合いもいないから、想像なんてできるわけなかったすね。
ー最後に今後の目標や展望を教えてください。
K:最初にも言ったけど、やっぱ『DANPACHI』を世界に持っていきたいですね。腹にDANPACHIってデカくタトゥーも新しく入れたし(笑)、そのくらいの気持ちで世の中に俺らのスタイルが伝わって欲しいと思っています。マジで思っている倍以上は余裕でかっこいいよ、って言いたいですね。あとはこの強力ラインナップでイベントとか、できたらそりゃやりたいっすよ(笑)そこのステージでカットショーができたら、もう最高っす。
『Ollie』vol.252 お詫びと訂正2020.11.25
2020年11月20日発売『Where is my hood?』において下記の通り訂正がございます。
謹んでお詫びを申し上げますとともに、訂正させていただきます。
P.118一部アーティスト表記に誤りがございました。
正しくは以下の通りになります。
舐達麻
- Photograph_Kento Mori Text_Atsutaro Ito Design_Ryota Watanabe
EVENT INFORMATION
「DANPACHIPHOTOexhibition」
日程:2020.11.27FRI~11.29SUN時間:12:00~19:00
場所:東京都渋谷区神宮前5-12-1マハール表参道ビル1F
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