MUSICOTHER2020.05.2
ROOM IS STYLE
ストリートの遊び心を詰めこんで
VOL.01
大量のモノで溢れかえった
楽曲制作家族団欒の空間
オカモトレイジ(OKAMOTO’S)
Ollie 2019年1月号 Vol.237より
OKAMOTO’Sでの活動はもとより、センス溢れるコーディネートやユニークな着眼点の嗜好にも注目が集まっているオカモトレイジさん。豊かな感性を持つ彼は、どんな部屋で過ごしているのか気になることだろう。結婚・第1子の誕生を経て、新しい生活を歩みはじめたばかりの新居で、“今のオカモトレイジ”が映し出されたプライベートルームを披露してくれた。そこには彼らしさが滲み出た、遊び心たっぷりの空間が広がっていて、音楽を聴いたり、制作したりしながら、一家水入らずの時間を過ごしている。
ROOM Questionnaire
1.居住エリア / 3丁目
2.居住年数 / まだまだこれから
3.家賃 / 十分
4.広さ / 調子良い
5.住んでいる家&街を選んだ理由 / 実家が近い
6.駅から家までの距離 / 遠い
7.部屋のお気に入りポイント / 広さと日当たり
8.部屋の改善したいところ / 夜の部屋の暗さ
9.次に住みたい街 / 都会
10.カッコいい部屋に住んでいる友達 / 行ったことないけどケンちゃん
日々進化と変化を繰り返す
オモチャ箱みたいな空間
先月引っ越して来たばかりだというオカモトレイジさん。「今朝、やっと部屋が整ったんですよ」と、撮影当日に完成したばかりのマイルームに案内してくれた。そこは、どこを見渡しても興味が沸く、らしさ満点のモノで溢れかえっているが、不思議とゴチャついて見えず、むしろスッキリとした印象。
「整理整頓するのが好きだし得意だから、片付いているように見せられるんです。“あぁでもない、こうでもない” って、常に片付けていて、しょっちゅう模様替えもしちゃう。どんなにモノが多くても、どこになにがあるか一瞬で分かります。爆発するくらい部屋にモノを詰め込んでいるから、こまめに整理しないといけなくて。今回の引っ越しは、ほとんどの荷物を自分で運び込んだから、ありえないくらい大変でした(笑)」。
引っ越す前の住まいでは、アメコミのフィギュアをブリスターパックに入れたまま、たくさん飾っていたけれど、すべて友達に譲ったそうなので、これでもモノが減ったほうだとか。「とにかくモノを減らしたいんですよ。使っていないモノは、どんどん友達にあげようと思っています」。そう話すものの、結局減った分は、増えてしまうのが彼の性分らしい。
「シルバニアファミリーに出会っちゃったんです。逆輸入のUK版パッケージが超カッコいいんですよ!そこにグラフィティを描いてみようかなって思って」と、子供のためという名目でありながら、新たなコレクションに目覚めた様子。
そんなレイジさんの今の気分と、幼少期からの歴史を感じるモノが詰まった部屋には、“懐かしい!” と感じるミニ四駆や刺青シールだったり、“なんですか、コレ?” と疑問を抱くような標本だったりと、思わずニヤリとするようなオカモトレイジISMを投影したモノがたくさん並ぶ。
眺めているだけで好奇心が刺激されて、ワクワクするオモチャ箱みたいな空間だ。
この場所から作り出される
誰も買えないDIYアイテム
部屋には音楽関係から、服、書籍、アート作品、さらには子供の頃に遊んでいたオモチャまでがディスプレイしてあって、レイジさんのパーソナリティが一目瞭然。その中心には PCやキーボード、MPCといった機材が置かれていて、「さっきこのデスクが届いたので、やっと今日から曲作りができます」と話す。
そして、3本のギターや、ディジュリドゥというオーストラリアの先住民である、アボリジニの民族楽器などもディスプレイされているし、レコードやカセットテープも大量に収納されている光景から、生粋の音楽好きというのを改めて確認させられる。
「この部屋に置いてあるレコードは一部なんです。リビングにターンテーブルがあって、そっちにDJをする時に使うレコードが収納してあります。だからここのレコードは、サンプリングのネタものだったり、鑑賞用だったり、あんまり針を落とす機会が少ないコレクションなんですよ。カセットテープは、音楽を聴くプロセスが魅力。曲単位で早送りができないし、A面とB面で裏返さないといけないから集 中して音楽を聴ける。言っちゃえば、レコードよりもアナログなところが魅力ですね」。
部屋の右側にある本棚には、雑誌やアーティストの作品集をはじめ、2 0年前に読んでいた少年漫画や海外の書籍など、レアな本もラインナップ。その中に、自分で作ったフォ ZINEやマガジンも混ざっていた。それらは、“読めない・買えない・もらえない” をコンセプトに作られていて、決して一般販売されることはなく、友人だけに配布。日の光を浴びることはないけれど、レイジさんの個性が120%落とし込まれている作品だ。
そんなクリエイティブな一面は、他の場所にもあって、自分が着たいデザインのT シャツも趣味として作っていて、シルクスクリーンの版と、その原画を100枚以上保管している。「デザインを思いついたら、すぐに版を作るけど、一回も刷っていないものもあるんですよね。そろそろTシャツのブランドをはじめようと思って。でも、それも売りはしないから、誰も買えないブランド。知り合いに配るためだけのTシャツを作りたいんです」と本だけではなく、ウエアもエクスクルーシブに展開していくとのこと。これからこの部屋で作られていく、それらのDIYアイテムは、手に入れることは難しいけれど、絶対に注目すべき存在。
ウォークインクローゼットには、服と最近履いていないスニーカーがパンパンに入っていて、そこから溢れたTシャツなどは、クローゼットの外に配置されたチェストに収納。「服がいっぱいありすぎて、収納場所がなくて……。“とりあえず”頑張ります!って感じですね(笑)。
最近はインスタを通して、海外からド・インディーなブランドや、全然知らないアーティストのTシャツを買っているので、服も増える一方。クローゼットの中には、一回も履いていないスニーカーがあるけど、将来“うわ〜、懐かし〜!” って思った時に、ピカピカの新品を履けるのを楽しみにしています」。
人脈の広さを証明する
思い出の写真と一点モノ
街中やクラブで、仲間たちをフィルムカメラで撮っているレイジさんの姿を見かけたことがある人もいるのでは?2010年から撮りはじめて、現在にいたるまでの写真は、すべてネガフィルムと一緒に大切に保管している。膨大な量となっているけれど、現像と同時にデータ化し、PCで日付毎のフォルダに分けているので、すぐに見つけることができるそう。部屋の中だけではなく、PCの中まで整理整頓が行き届いているようだ。
そこには高校生の頃のKANDYTOWN LIFEや、デビューする前のCreative Drug Storeのメンバーたちの姿などが収められていて、「みんなの生き字引みたいな感じになっていますよね。変な写真がいっぱいありますよ」と笑いながら話す。今のシーンを賑わせている同世代アーティストたちとの若かりし頃の思い出は、レイジさんならではの宝物。その激レアショットの数々は、仲間たちに手渡したZINEに収録されたらしい。
さらに、コラージュアーティストの河村康輔さんと共同で製作した作品や、2人のコラボレートアートが収録された書籍、ミュージシャンのRIKI HIDAKAさんによる一点物の造形物など、強い繋がりを持つ人たちのアート作品も飾られていて、交友関係の広さも部屋から紐解くことができる。それは、長くストリートに身を置くレイジさんだからこそのディスプレイと言えるだろう。
シルバーラックに積み重ねられたままのダンボールやスニーカーボックスには、さまざまなモノが。例えば、1、2年前にハマっていたK-POPのアイテム。レイジさんは、それまで存在をスルーし続けていたけれど、ちゃんと聴かないとダメだと思い、聴いてみたら単純に曲がカッコよかったからハマったそう。先日、注目していたグループのメンバーが復帰したので、再びマイブームになっているとのこと。
この家に住みはじめて、まだ1ヶ月くらいだけれど、ほとんどリビングにいることがなく、大体はこの部屋で過ごしている。「休みの日も、ここに子供を連れて来て一緒に音楽を聴いています。制作部屋みたいな感じだけど、そこに子供がいてもいいなって思いますね」と、この部屋は家族団欒の場所でもあるようで、子煩悩な父親の優しい表情を見せてくれた。
それを裏付けるかのように、 部屋の中央には、赤ちゃん用のバウンサーが鎮座していて、温かな空気が部屋に充満。1 人増えた家族と一緒に過ごしながら、楽曲を制作するレイジさんの活躍に、さらなる期待が高まるばかりだ。
一家の大黒柱として、少し前と立場は変わったかもしれないけれど、 この部屋を見たらレイジさんのスタンスはこれまでと変わらず、むしろ父親として男らしさが格上げされて、感覚が研ぎ澄まされているよう。レイジさんのセレクトセンスが光るアイテムと家族に対する愛情が調和した空間は、インスピレーションと安息を与えてくれる場所なのだ。
- Ollie 2019年1月号 Vol.237より
- Photograph _ Ryo Kuzuma
- Design _ Takafumi Iwatsuka
オカモトレイジ
デビュー10周年を迎えた
OKAMOTO’Sのドラマー。
Instagram @okamotoreiji
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