MUSICSKATE2020.06.6
– YOUTH OF TODAY –
多様な価値観を貪欲にインプットし
ストリートを邁進する19歳のリアル
Vol.02
Sofuto
Diaspora skateboardsのデザイナー、田中優也がアツい眼差しを注ぐ19歳、Sofuto。素朴で純粋無垢な雰囲気とは裏腹に、ストリートでエネルギッシュに動き回る若き表現者だ。モデル、スケートボード、トラックメイクなど、様々なことに挑戦する19歳の“いま”に迫ってみよう。
スケートボードが繋いだ絆
自身初のLOOKモデルに
今年の7月で20歳を迎えるSofutoは、東京で生まれ育った生粋の都会っ子だ。取材前はどんなシティボーイが来るんだろうとドキドキしていたけど、取材開始10分前に現場に到着した彼からは、とても素朴で、何色にも染まっていない自然体な印象を受けた。Diaspora skateboardsの20SSのLOOKモデルを努めたことで、ストリートでも徐々に彼の名前が浸透しつつあるけど、普段はどんなライフスタイルを送っているのだろう?「代々木の実家で暮らしながら、その日の気分によって友達とスケボーしたり、家に閉じこもってひたすら音楽を聴いて、トラックを作ったりしています。あとは、代々木の“GOLDEN BROWN”っていうハンバーガーショップでバイトしています」。大学には進学せず、いまは自由気ままに様々な物事に触れることで多様な価値観をインプットし、自己表現の糧を培っているSofuto。普段はスケートボードを通して出会った仲間と一緒にいることが多いようだ。「よく遊ぶのは大体スケーターですね。小学生の頃から仲の良い友達と一緒にスケボーを始めてから、駒沢公園とか行くようになってスケーターの友達ができました。かなりの人見知りなんで、最初は友達についていって輪に溶け込んでいましたね(笑)」。
今回Sofutoを紹介してくれたDiaspora skateboardsの田中との出会いもスケートボードがきっかけだった。「中1の頃に駒沢公園でスケボーをしていたときに、(田中)優也さんに出会いました。そこからちょくちょくパークとかでも会うようになって、徐々に話すようになりました。自分でブランドもやってるし、かっこいいと思う先輩の一人ですね。DiasporaのLOOKモデルを任せてもらったとき、最初は不安もありましたけど、撮影で優也さんが優しく声をかけてくれたので緊張もほぐれました」。
自分のスタイルを探究しつつ
スケボー=チルなマインドで
スケートボードを通して多くの仲間に出会い、気分の良い日には必ず滑りに行くというSofuto。そんな彼は普段、どんなマインドでスケートボートを楽しんでいるのだろう?「めちゃくちゃ本気でやってるわけではないんです。始めたての頃はプロを目指していたんですけど、滑っているうちに肩の力を抜いてチルな気分で滑った方が楽しめるなって気づいて、今は自分のスタイルを探しつつ、純粋にスケボーを楽しんでいます。バイト先までプッシュで行ったり、帰り道に滑ったり。友達ともよく滑りに行きます。最近はあまり行けていないですが、高校生の頃は田町にあるパークに毎日行っていました」。
物事に熱中しすぎると、つい忘れてしまいがちな“楽しむ”という気持ち。いまはまだ自分のスタイルを探している途中だと話してくれたが、楽しむ気持ちを大切に日々スケートと向き合うSofutoからは、スケートボードに対する深い愛情を感じ取ることができた。「僕にとってスケボーは、どんなことがあっても帰れる場所です。当たり前の存在というか。例えばトラックを作っている時間もめちゃくちゃ楽しいんですけど、たまに分からなくなってイラついたときに、思いっきりプッシュすると気持ち良くて嫌なことも忘れちゃいます」。
固定観念に縛られることなく
トラックに命を吹き込んで
スケーターとしてのSofutoをA面とするなら、B面はトラックメイカーとしてのSofutoだ。高校3年生の頃からトラックメイクを始めて、自分のペースに合わせて制作しながら、現在はSoundCloud上で楽曲を公開している。「ラッパーをしている友達の影響で、自分ももっとヒップホップについて詳しく知りたいなと思って興味を持ち始めました。色々調べているとトラックメイカーの存在を知って、これなら自分も手を出せそうだなと思って機材を買ったのが最初です。トラックを作っていたら行き着く人が多いと思うんですけど、J DillaとA Tribe Called Questにはかなり影響を受けましたし、今でもずっとくらっています」。
右も左もわからない状態から独学で勉強をはじめ、試行錯誤を繰り返しながらも、日々トラック制作に挑戦するSofuto。発展途上の真っ只中で成長著しい若きトラックメイカーは、どのようなことを意識して作品制作を行っているのだろうか?「音楽をたくさん聴いていると、こういう風に作らなければいけないという固定観念に縛られがちなんですけど、出来るだけそのときのマインドを作品にどう落とし込むかってことを意識してトラックを制作するように心掛けています。作品に命を吹き込むっていうか。そのようなことを意識して作っていたら、徐々にですけど自分のスタイルが出てきたような気がしています」。
トラック制作を始めて2年足らずとは思えないほど、しっかりとした意識を持って作品制作に取り組む真摯な姿勢にグッとくる。SoundCloudにはSofutoが制作した作品が数曲公開されているけど、その中の“Tomorrow Morning”というタイトルの楽曲にはSofuto自身がラップを吹き込んでいる。「日々の生活の中で感じる幸せも大切だなと思って作りました。ラップをガッツリ音源に乗せたのはこの曲が初めてです。自分でトラックを作って、自分でラップをしました。下手でも下手なりに、スケボーと同じで自分のスタイルを出した方が面白いかなと思って」。
何気ない日常で感じる幸せをリリックに落とし込んだこの曲からは、純粋で、真っ直ぐなSofutoの気持ちを感じ取ることができる。いまはコロナで世の中全体がどんよりした雰囲気だけど、朝起きて、コーヒー片手に一服して、なんていう日常の中にこそ幸せがあって、何より普通の生活を過ごすことができる幸せを改めて教えてくれたような気がした。
読書、描画、旅行、瞑想・・・
すべては自己表現のために
今回Sofutoを取材して、強く響いたことがある。それは、あらゆる価値観を貪欲に吸収するエネルギーと、それらをスケートボードや音楽などの自己表現にしっかりと落とし込もうとしている純粋な姿勢だ。「自分の世界をもっと広げたいなと思って、本を読んだり、絵を描いたり、海外を旅行したり…、まあ色々やっています。最近読んだ本で一番響いたのは、武者小路実篤の“人生論”ですね。内容は難しかったけど、健康、人生、お金、愛など古臭くて当たり前のことが書いてあるだけなようで、最近の本とはどこか違う素晴らしい本だと思いましたし、彼の人生観にくらいました。読んだ本からインスピレーションを受けることも多いです。旅行だとインドとか、オーストラリアに行きましたね。日本では感じることができないことも多いので、旅先で感じたことを自分なりに楽曲に落とし込んでみたり。あと日本一周をしたいなと思って、この前自転車を買いました。一人でひたすら自分を追い込むのも面白そうだなと思って(笑)」。
加えて、最近はコロナで家にいることも多く、瞑想も始めたと教えてくれた。素朴で純粋無垢な雰囲気とは裏腹に、臆することなく様々なことにエネルギッシュに挑戦するSofuto。そんな彼が今後、表現者としてどのように成長していくのか今から楽しみで仕方がない。最後に、今後の目標について聞いてみた。「留学か世界旅行をして、そこで感じたことを曲に落とし込んだアルバムを作ったり、ZINEを作ったり、とにかく形に残したいですね」。
“素太”という名前の如く、素朴で、太い芯の通った彼が、いつの日かストリートで暴れ回る日が来るのもそう遠くはないかもしれない。
- Photograph_Ryo Sato
Sofuto(素太)
モデル、スケートボード、トラックメイクなど、ストリートを主戦場に様々なことに挑戦する要注目の19歳。SoundCloudには制作した楽曲がupされているから是非チェックしてみて。
SoundCloud:soundcloud.com/user-588149583
Instagram:@softies711
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