
FASHIONFEATURE2020.08.18
パンクとヒッピーをルーツに
タイダイで染め上げる自分の色
– YUKI –
メゾンブランドからストリートまで幅広いシーンで目にし、ここ数年は改めて注目を集めているタイダイ染め。染め職人のYUKIは、自らのタイダイ染めブランドである〈D.Y.E〉を手掛ける一方で、RADIALLや中野のスケートショップFATBROSとも定期的にコラボアイテムを発表するなど、ストリートからのプロップスが高いアーティストの一人。そんな彼女がタイダイ染めを始めたキッカケは、大学在学中に留学したサンフランシスコでのある出会い。そんなルーツを紐解く中で垣間見た、タイダイ染めというスペシャルな技法でTシャツをメイクする、彼女ならではのスタイルを探ってみよう。


染めの作業は自宅のキッチンで行うことがほとんど。事務作業を行っているデスクには、ルーツでもあるGrateful Deadの本や染めに関する資料、アメリカ産の雑貨などが並び、彼女らしいカルチャーの空気を感じることができる。
オリジナリティを大切に
自分だけの染めを日々研究
2013年より全工程を自身で手掛けるタイダイ染めブランド〈D.Y.E〉をスタートし、Tシャツをはじめ、バッグやシュシュ、ビールジョッキまで彼女ならではの視点でありとあらゆるアイテムにタイダイ染めを施す、染め職人のYUKI。地元大阪の芸術大学ではテキスタイル・染織コースを専攻していたけど、最初はタイダイ染めに全く興味が無かったというのは意外だ。そこで気になる、彼女がタイダイ染めに興味を持ったキッカケの話から。「大学在学中にサンフランシスコに留学したんですけど、ヒッピー発祥の地だけあってGrateful Deadをはじめとするヒッピーカルチャーが根付いていて、そこでタイダイ染めに出会って衝撃を受けたんですよね」。
海外に足を運び異国の文化に触れることで、自分の価値観が変わるというのはよく耳にする話だけど、彼女もまたそのひとり。そこから独学でタイダイ染めに関する知識を深めていき、現在に至るまでコツコツと自分のペースで制作を続けている。そんな彼女はパンクロックに熱中した青春時代を過ごしていたそうで、現在においても大きな影響を残している。「パンクで有名なアナーキーシャツはブリーチすることで染めるんですけど、その要素をいまの技法に取り入れています。ヒッピーは主にレインボーとか派手なイメージなんですけど、私なりのオリジナリティも大切にしたいので、竹ぼうきでブリーチして色を抜いてみたり、スポンジで染めてみたり色々試していますね。絞り染めは、紐で縛って染めるというのがタイダイ染めの基本ですけど、そこに捉われずに自分なりの技法を日々研究して、プロダクトに落とし込むようにしています」。
彼女のルーツであり、また現在のスタイルを形成しているパンクとヒッピーというカルチャーには共通点がある。それは、権力に抗い既存のルールに従うことなく、自由を求めて新たな道を切り開くという“反骨精神”の存在だ。そこには“すべて自分たちで作り上げる”というDIYの精神性も含まれていて、D.Y.Eでもすべての工程を自身で手掛け、既存のマニュアルに捉われることなく、自分なりの新しい技法を追求することでオリジナリティを見出すという現在のスタイルに行き着いたのだろう。
いまこうしてYUKIがプロップスを得ているのは、タイダイ染めを通して彼女自身のありのままを自由に表現しているからではないだろうか?そんな彼女が大切にしている信念は、DIYの最大の魅力であり、D.Y.Eのプロダクトタグにも施されている、コトバ。「 “ONE OF A KIND=唯一無二”ですね。量産はするけど、私が作っているものは一点ものなんでよろしくってことです。同じところに染めのムラがなかったり、2つとして同じTシャツはないという点が大量生産にはない魅力です。一枚一枚気持ちを込めて染めているので、着ている人が楽しい気持ちになってくれたらすごく嬉しいですね」。
– HOW to TIE DYE –
ここからは実際にタイダイ染めを用いてTシャツを制作する様子をお届けする。タイダイ染めには様々な技術を必要とするものがあるけど、今回はもっともスタンダードな技法で手掛けてもらった。
- Photograph_Hideaki Nagata , Ryo Sato
YUKI
タイダイ染めブランドの<D.Y.E>を手掛ける染め職人。大阪の芸術大学在学中にサンフランシスコに染色留学し、その後東京を拠点にストリートブランドと共作を発表するなど、タイダイ染めという技法を用いて幅広く活動する。D.Y.Eの情報はSNSで発信されているのでチェックしてみて。
@yukidye

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