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FEATURE2020.07.22
クラシックを更新する二人の
ラッパーとしての初期衝動が宿る
– BES&ISSUGI –
2018年の『VIRIDIAN SHOOT』から早2年、先日『Purple Ability』を発表したラッパーのBES&ISSUGI。この二人の楽曲がヤバいのは約束されていたようなもので、「前回よりDOPEなサウンドだな」とか「またGWOP SULLIVANもいるし、客演も間違いない!」なんていう声はもちろん、すでにREMIXアルバムに期待している(出るか分からないけれど)リスナーも少なくないはず。そんな楽曲はリスナーそれぞれが聴いて楽しんで欲しいから、ここではあえて、クラシックを更新し続ける二人の、捨てられないTシャツの話が聞きたい。
BES
ティーンエイジャーだった頃の
NYでの思い出が宿る貴重な1枚
SWANKY SWIPEのMCとして1990年代後半から活動を開始し、ソロはもちろん昨年復活したSCARSの一員としても注目を集めるラッパーのBESさん。ラッパーとしての活躍は周知の事実だけど、若い頃はグラフィティや絵を描くことが好きで服のブランドにも携わっていたことがあるのだそう。今回持ってきてもらった98年の〈ecko unlimited〉のTシャツは、グラフィティを見るために行ったNYで購入したものだ。「これはSOHOの近くで30ドルくらいで買いました。当時は服にも興味が強かったので、服とグラフィティを目的に、先輩とNYのブルックリンやクイーンズに行っていて。他にもたくさん買ったんですが、なくしちゃったり人にあげたりして、残ってるのはこの一枚だけですね」。また、今回アルバムを聴いてグッと引き込まれた部分の一つに、BESさんのヒリヒリするような緊張感あふれるリリックがある。特に『trap to trap』や『skit』には、かつてのリアルなエピソードが練り込まれていて最高だったけれど、本企画のために選んでいただいたTシャツにも、ハラハラするようなエピソードが。「NYでは案の定先輩に引っ張られて“逃げろ!”ってこともありましたね。縄張りとか、超えちゃいけない場所とかそうゆう感じだったんですけど、他にも先輩が両替所で両替した瞬間、横から奪われそうになったり」。そんなTシャツは、今はサイズが合わなくなって着ることはほとんど無いそう。それでも残しておくのは「先輩から“黒人にフリースタイルかましてやれよ”って言われたんですけど、その時はできなかったんです」という、若い頃に経験する苦い思い出も詰まっていることが、捨てられない理由の一つなのかもしれない。
〈ecko unlimited〉のTシャツ
インタビュー中にISSUGIさんも「渋いですね」と言っていて、今ではあまり見かけることのない一枚。ecko unlimitedは90sのHIPHOPシーンを代表する、ファッションブランドの一つだ。
ISSUGI
東京&大阪で過ごして
仲間と切磋琢磨した時期
「気に入ってるのは取っておきたい気持ちがあって、Tシャツは家に全部で50枚くらいありますね」と教えてくれたISSUGIさんは、その中から2枚をセレクト。まず1枚目のS.l.a.c.k.、ISSUGI、BUDAMUNKの3人で結成されたユニットSICK TEAMのTシャツには、BESさんと同じように活動初期の思い出が。「これはsickteamの時に作ってくれたサンプルのやつで。売り物のTシャツはボディとデザインのカラーが違うんですが、どちらもグレーのものをたまたま作ってくれてて、家に取ってあります。BudaくんとS.l.a.c.k.とレコーディングやライブをやってた時期を思い出しますね」。正面にS.l.a.c.k.デザインのロゴが描かれたフォトTは、今では入手困難だけど、さらにそれがグレー×グレーのサンプル品とくれば、ほぼ誰の手にも渡っていないスペシャルすぎる1枚だ。そして2枚目のTシャツは、大阪の堀江にあるショップFedupで購入したもの。これはヘッズなら一度は見たことがあるはずのもので、『BudaMunk – Five Elements Feat. MONJU & OYG』のPVではグレーのロンTと合わせて着ているのが確認できる。「大阪のFedupには良く遊びに行かせてもらうんですけど、結構いろんな服が売っていて。HIPHOPアーティストのTシャツだったり、ブランドの服もあって、パッと見のデザインが気に入って買いましたね。これはFive ElementsのPVで着てて、撮影も大阪だったんで、なんかそこらへんの時期の思い出って感じですね」。自然とどちらも仲間とのストーリーが詰まったもので、そんなセレクトからはISSUGIさんの人柄も伝わってくる。ちなみに今回のアルバムタイトルは『Purple Ability』でISSUGIさんの『DAY and NIGHT』のジャケも紫。BESさんも「この街中で赤く光る はき捨てる紫のバース」など、リリックに“紫”というワードを良く選んでいるあたり、共通して好きな色なのかもしれない。
- Photograph_Ryohei Anbo
BES&ISSUGI
SWANKY SWIPE & SCARSとしての活動でも知られるラッパーのBES。そしてDOGEAR RECORDSに所属し、MONJU & SICK TEAMのメンバーであり、ビートメーカー名義16FLIPとしても活動するISSUGI。そんな二人のジョイント・アルバム第2弾となる『Purple Ability』が7/3にリリースされたので、要チェック。
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