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1つの元ネタが2つの音色で蘇る<br>LA&カナダの2人が放つビートを<br>– CaLAmel P.Budz Butter –

1つの元ネタが2つの音色で蘇る
LA&カナダの2人が放つビートを
– CaLAmel P.Budz Butter –

楽曲が10年、20年、100年経ってもカタチを変えて生き続ける、サンプリングというカルチャーは、いつだってリスナーもプレイヤーもワクワクさせる。DJ POM(P.Budz)とビートメイカーのCamel Beatsによるプロジェクト=アルバム“CaLAmel P.Budz Butter”のテーマもサンプリングで、それは2人の先人&音楽へのリスペクトそのもの。アルバム内では5つの元ネタをそれぞれがサンプリングし、10曲のビートアルバムとしてメイク。LAを拠点にレゲエセレクターというルーツを持つCamel Beatsに、今はカナダを拠点にKOJOEのバックDJも担当していたDJ POM。2人のスタイルが投影された音色が生み出す、オンリーワンな世界をお届けしたい。

フッドの沖縄で繋がった旧友が
ネクストフィールドで音楽を発信

DJ POMといえば、先ほど書いた通りKOJOEのバックDJのイメージが強かったり、不定期でリリースしているMIXも最高だから、MIX CLOUDなどで常にチェックしている人も多いだろう。今年からカナダに渡った理由は、ある意味安定してきた東京から抜け出し、新たなチャレンジをするため。「東京に5年住んでみて、DJとして動ける幅も最大値が見えた感じがしたんで、それだったら海外で挑戦しようと思って。カナダはDrakeとかThe Weekendとかのソウルメロウ系のラッパーが多いイメージだったんで、楽しそうだなって。実際住んでるのはトロントなんですが、住居から歩いて10分くらいの所で発砲事件があったり、少しゲトーなところに住んでます」。

対して、レゲエのセレクターというルーツをもつCamel BeatsがLAへ渡ったのは約8年前。「母親が米軍基地で働いてる人と再婚して、家族がアメリカに行くことになったんですが、そこで日本に留まるか渡米するかの選択肢を与えられたとき、音楽やってるし挑戦したいと思って一緒にアメリカへ引っ越しました」。現地ではミュージシャン主催のイベントやビートバトルに2018年まで2年間出場していて、準優勝1回とベスト4が1回と、LAローカルでも高いプロップスを誇る。

サンプリングへの愛を宿し
いつもの遊びの延長線上で

そんな二人が海を越えてリンクした理由は至ってシンプルで、お互いのフッドが沖縄であることだ。昔から知る仲間が遠く離れた場所にいるからこそ、普段から頻繁に連絡を取っていて、今回のプロジェクトも何気ない会話の中から生まれたラフな企画。「俺がマナブ(=Camerl Beats)によく連絡していて、自分の曲を聴かせるうちに、こんな企画やってみない?みたいな。ノリで始まった感じですね。それに、コロナの自粛期間だったのもあって、こんな時期だしどうせなら引きこもっちゃおうぜという感じです(DJ POM)」。だから、“2ヶ月に一度ビートアルバムを出す”ということ以外は、いつまでやるかとかも特に決めていなくて、そんなユルさも良い感じ。

また、5枚のレコードを使ってお互いに一曲作るという内容は、二人にとってみたら必然なのかもしれない。それは、普段からサンプリングベースで曲を作り、「一緒に音を聴く機会って前からあって、お互いに”こうゆうの好きなんだろうな”って大体分かりますね」とCamel Beatsが話すように、日常の延長線上にあるようなものだから。そこで聞いておきたいのが、お互いが思うサンプリングの魅力について。「その年代に売れてない、有名になってないアーティストの曲でもたくさん良いモノはありますよね。時代を超えてじゃないけど、いい音がサンプリングによって、どんどん次の世代につながっていって、その人のスタイルに合うものになっていくのが面白くて。いい曲は何十年後も残って欲しいので、そこに魅力を感じてます(Camel Beats)」。「曲は生き続けるじゃないけど、音楽がループしてんのがウケるよね。今は00年代のノリが気分だったりするけど、ちょっと前までは90年代だったり、やっぱり色あせない。曲作る時にその曲のグルーヴを自分のグルーヴでできたらスッキリしますね(POM)」。ちなみに、サンプリングするのはレコードだけじゃなくて、例えばスーパーのドアが開いた時に聞こえるような音だったり、日常的なライフスタイルのなかで聴こえてくる音もメロディに起こしたりするのだそう。

最後に、二人からしたら少し恥ずかしいかもしれないけれど、お互いが感じるそれぞれの魅力について話してもらった。「POMのドラムパターンとサンプリングの展開の持っていき方が好きで。なんかスネアの入れ方とか、勢いのある大胆さにPOMの人間味が出てる感じがするんで、そこが俺はすごい好きですね(Camel Beats)」。「マナブのビートには安心感があって、それこそ人間味が出てると思う。レゲエが根底にあるっていうノリも感じるし、LAらしいスウィングのキーボードの入れ方、とにかくグルーブが幅広いかなって(DJ POM)」。まだ発表はしていないけれど、この“CaLAmel P.Budz Butter”をベースに様々な企画を企んでいる様子。現行のノリ+オーセンティックさも感じるDJ POMのHIPHOPなビートに、レゲエをルーツに感じさせるグルーヴィなCamel Beatsのサウンドには、今後も注目してもらいたい。

  • Photograph Ryo Sato

CaLAmel P.Budz Butter

カナダを活動拠点とするDJ POM(P.budz)とLAを拠点とするビートメイカーのCamel Beatsにより、 隔月で行われるプロジェクト“CaLAmel P.Budz Butter”の第一弾が2020年6月23日(火)よりスタート。 本プロジェクトでは5曲のソースを元にそれぞれがサンプリングした、計10曲を収録したBEAT TAPEをスタンバイしている。

@pommy_caravan

@camel_beats

CaLAmel P.Budz Butter

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