ARTEVENT2020.08.22
新たな表現法で
次なる迷路=メイズへ
-GUCCIMAZE EXHIBITION-
国内アーティストのみならずFetty WapやPost MaloneにNicki Minajなど、海外のビッグネームとも制作を行ってきたグラフィックデザイナーGUCCIMAZE。メタリックでトゲトゲしいその作品たちはひと目で彼のものだと分かるほど独創性に満ち溢れているし、ダークで不気味だけど一筆一筆の繊細さは誰にもマネできない世界観に、より一層拍車をかけている。現在、渋谷のDIESEL ART GALLERYで開催されている初の個展”MAZE”は、新旧の作品に加え親交の深いアーティストとのコラボレーション作品が展示されているが、なんといっても見逃せないのが初挑戦となる立体作品だ。まだ足を運んでない方は是非とも直接見て、感じてもらいたい。
お蔵入りになったフォントや
遊びが生んだ”偶然の産物”も
個展が今回初だと聞いた時は意外だったけど、それは本人が「人に見て欲しい」という想いが強くないからなのだとか。だけど、熱望する周りの声や、独立からちょうど2年目という節目のタイミングだった事もあり開催を決定したという。初挑戦となった立体作品に関しては、あまり堅苦しい美術館のアート展のようにはしたくないという思いもあり、繁華街で見かけるネオン管や、スマホやゲームなどで利用する機会も増えてきたAR技術など、若い世代でも足を運びやすい身近な作品が多く見られた。
立体作品は遊びで作ったものや、お蔵入りになってしまったフォントを思い出して採用したという”偶然の産物”というのもポイントだ。まず紹介するのは、同じ大学の仲間である彫刻家のKOTARO YAMADAと製作したマリア像。一見、手裏剣のような武器にも見える三つ巴の紋様を背負っているが、「このブロンズは、コラボとか個展とは全く関係なく遊びで作っていた物なんです。製作途中に思い出して、マリアの背中にくっつけたら面白いんじゃないかと思ってやってみたら、ヤバイ仕上がりになりました。ネオン管の方は当初、文字を“MAZE”で作る予定だったんですけど、角が多くて技術的に無理と言われていたんです。それで困っていた時に思い出したのが、Nicki Minajの仕事をした時に沢山描いて、結局お蔵入りになったMの文字でした。ちょうどMAZEの頭文字でもあるし、ニッキーの仕事が無かったらこの個展も無かったので、色んな想いが詰まった“M”を採用しました」。
直接見ることで得られる
刺激的なアート体験を
スマートフォンがあれば流れるように色んなアートをたっぷり見られる時代。でも、だからこそGUCCIMAZEの作品、特に今回の個展は会場に足を運んで生で見て欲しい理由がある。「展示した作品は、意図してかなり大きなサイズで出力しました。もっと細部のディティールを見て欲しいんですけど、みんなInstagramとかスマホの小さい画面でしか見ていないと思うんで」。彼の言う通り、大きなサイズの作品達は一度見た事があっても新鮮でインパクトが強い。研磨し過ぎていないザラついた金属を思わせる細かな粒子とか、妖しげに浮かびあがる手描きのタイポグラフィーなど、隅から隅まで作品を直視し続けると、そのダークでエッジーな世界観にグッと引き込まれて行く。それはまるでグラフィックに身体を取り囲まれるような感覚で、スマホからのアクセスだけじゃ絶対に不可能な高次元のアート体験だ。時代にフィットしたARやキャッチーなネオン管、さらに作品への没入を促す演出も加わったGUCCIMAZEの世界観を、たっぷり堪能して欲しい。
- Photo _ Ryo Sato
GUCCIMAZE 世界初個展 "MAZE"
会期: 2020年6月20日(土)- 10月13日(火)
会場: DIESEL ART GALLERY
住所: 東京都渋谷区渋谷1-23-16
cocoti DIESEL SHIBUYA B1F
TEL: 03-6427-5955
開館時間: 11:30-21:00(変更になる場合がございます)
入場料: 無料
休館日: 不定休
Instagram: @guccimaze
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