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HIPHOPでグラミーを沸かせた<br> 伝説的ラッパーの現在地<br>Kid Cudi

HIPHOPでグラミーを沸かせた
伝説的ラッパーの現在地
Kid Cudi

近年急激に市民権を広げてきたHIPHOPだが、現在のようにお茶の間を席巻し始めたのはつい最近の話だ。それまでは、HIPHOP=ギャングスタとか、それ以外にもハードコアなイメージが強く、世間一般にその音楽が届くことはまずなかったはず。ではなぜ、これまでにHIPHOPというジャンルが広まったのかを考えた時、そのきっかけを作った先にいるのがアメリカはクリーブランド出身のアーティストKid Cudiだ。自身初となるアルバム『A Kid Named Cudi』を先駆けに、ジャンルの垣根を跨ぎヒットソングをアウトプットし続けてきた彼は、時にはメンタルイルネスとも闘いながら、HIPHOPの可能性を広げてきた。今回はそんなCudiが自身のブランド=<MEMBERS OF THE RAGE>をローンチするとの情報を聞きつけたので、その現在地を辿るためNUBIAN HARAJUKUへ足を運んだ。

90Sポップカルチャーへの愛を
音楽ではなくアパレルで表現

時には某大手ブランドのシーズンビジュアルを務め、時にはNet Flixのアニメシリーズをディレクションする。音楽という枠組みを超えてシーンを自由に行き来するクリーブランド出身のKid Cudiは、常にその動向が注目される世界的アーティスのうちの一人だ。2009年にリリースした1stアルバム『Day ‘n’ Nite』でバイラルヒットを掴み、その後も数々の伝説的な音楽をアウトプットし続けてきた。そして2023年を迎えた今、音楽だけでなく多方面でその才能を発揮しているわけだが、今回本誌で注目したいのはCudiが新たにローンチさせたアパレルブランド〈Members Of The Rage〉(以後〈MOTR〉)について。まずはそのブランドを設立したきっかけについて伺ってみた。

Kid Cudi :服作りを始めたきっかけは、シンプルに俺がショッピングに疲れたからだと思う。自分で好きな服を作れれば、ショッピングにいく必要もないだろ。特に俺は好きなものが決まっているから、例えばそれをゲットするには5つの店をはしごしなきゃいけないんだ。自分で作れば全て解決するっていう発想がブランド設立のインスピレーションになったよ。だからサイズ感も全て俺の体にフィットするようになっているんだ。

ブランド名の由来は、Cudiが元々描く予定だった映画の題名からきており、楽曲にも頻繁に出てくる代名詞的なフレーズ。「みんながこの服をきてファミリーのように感じて欲しいんだ」と話してくれたように、〈MOTR〉が目指すのは人と人を繋げるコミュニティ的存在であり、音楽や映画など様々なクリエイティブが集結したプラットフォームそのもの。彼の音楽を聞いていればわかると思うけど、楽曲のスタイルはポップなものからハードコア、そしてトレンドを取り入れたトラップやグライムなど多岐にわたっており、それは服作りにも共通しているそう。

Kid Cudi :90年代のカルチャー、特にポップカルチャーから着想を得ているよ。俺が生まれた時代にちょうど流行っていたものから影響を受けることが多いんだ。かといって誰かを参考にしてやっているわけでもないし、ただのファッションブランドとも違う。映画やTV、マンガ、雑誌、アニメとか、子供の頃に見ていた全てのものがインスピレーションとなっているんだよ。

今回のコレクションで一番印象的だったた鮮やかなカラーリングは、幼少期にCudiが夢中になっていたポップカルチャーをそのまま投影したもの。それは2022年に公開されたアニメーションムービー「ENTER GARACTIC」からも伺えるように、90年代のミクスチャーカルチャーが組み合わさり構成されたアイテムの数々は、どこか近未来的なデザインさえも感じさせる。中にはNigo氏と共にデザインしたイラストもあるそうで、それ以外にも日本から受けたインスピレーションは多いのだとか。

Kid Cudi :日本のカルチャーで好きなことは自由なことだよ。アメリカだったら異色なことをしていると批判にもつながる。でもここは違うだろ。好きな服を着てても後ろ指を指されることはないよな。そらは俺のブランドでも同じで、自由に表現することが1番のテーマなんだ。一回目のコレクションでは、とにかく俺のやりたいことやイメージしていることを全て詰め込んだよ。

自由な表現。決して飾ることのない自分らしさを重要視する本人らしいメッセージは、今回レセプションに展示されていたアイテムや内装からもダイレクトに感じることができた。そして当日は、〈MOTR〉の服を求め多くのアーティストやファンの方が駆けつけ、その光景をみればCudiがどれだけ多くのヘッズ達から指示を集めているかは一目瞭然だろう。きっと日本のユースにも、彼の世界観が音楽だけでなくいろいろな形で浸透していくことに間違いはないだろう。最後にファンの皆に向けてメッセージを頂いた。

Kid Cudi :日本のみんなには自分を表現することをやめずに、常にポジティブに考え、世界のカルチャーを牽引して行って欲しい。そのバイブスが日本にはある事を俺は知っているからな!

『MEMBERS OF THE RAGE』
-LAUNCH RECEPTION EVENTS-
@NUBIAN 原宿

NUBIAN TOKYO
HP:https://nubiantokyo.com/
IG:https://www.instagram.com/nubian_tokyo/
購入先リンク:https://nubiantokyo.com/en/collections/motr/MEN

  • Photograph_Cho Ongo

Kid Cudi

Profile

アメリカのクリーブランドで生まれ育ち、学生の頃には既にラッパーとしてのキャリアをスタート。そしてニューヨークに拠点を移したタイミングでKanye Westが主催するレーベルGOOD musicとの契約を勝ち取った。その前評判どおり、2009年にリリースした1st アルバムは全米3位の大ヒットを記録し、一躍スターへと駆け上がった。その後は、楽曲はもちろんのこと、俳優や映画監督など、多岐に渡りその才能を発揮している。

 

instagram
@kidcudi @MEMBERS OF THE RAGE 

Kid Cudi

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