ARTEVENTFASHION2020.09.15
その街にしかない空気と想いを
東西のプリント工房がウェアに
– PAJA STUDIO x wanna studio
x BEAMS T –
シルクスクリーンプリントの工房という場所は、ただ機材があるだけの作業場のようなイメージを連想するかもしれないけど、それだけじゃない。ウェアを作るために、その街のアーティストやショップがこぞって集まるから、いわばカルチャーとカルチャーのハブみたいなもので、土地の匂いが凝縮している場所とも言える。そんなプリント工房である、東京のPAJA STUDIOと、大阪のwanna studioがBEAMS Tによってコラボし、ウェアの販売&POP UPが9/18(金)より開催。また、それぞれのスタジオと近しいブランド、ショップ、アーティストともコラボを行い、スタジオらしく様々な人を巻き込んだスペシャルなパッケージに。アナログな手法にこだわる両者だからこそ、アイテムが出来上がるまでの過程やストーリーが気になるから、両者のスタジオへお邪魔してみよう!
— PAJA STUDIO —
純粋に好きなものや周りの人へ
リスペクトの気持ちを贈るように
東京の明治神宮近辺にスタジオを構えるPAJA STUDIO(※呼び方はパハ スタジオ)は、Taka、Shuto、Taichiの3人で運営。アイデアをすぐに具現化できる環境でオリジナルのアイテムもプリントしながら、渋谷の古着屋i&iなど周りのショップ&ブランドともタッグを組み、頻繁に足を運んで作業している。今の場所にスタジオを構えたのは、ちょうど一年ほど前の話。「NYへ留学した際に、その時遊びに来ていたShutoとシルクスクリーンを本格的にやろうと話し合いました。日本に帰ってきたタイミングでみんなに話して、それでTaichiがついてきてくれたんんです。Shutoは僕がNY行った時に1ヶ月半くらい自分の部屋に住んでて、そこで結構二人で話進めちゃったりしてました」。
真剣にシルクスクリーンプリントに向き合うことで見えてくるものがあって「シルクスクリーンは自分たちが思ってるよりも深いもので、やればやるほど先が見えてくる感じで楽しいです」と教えてくれた。そんな奥深い世界だから、インクジェットや刺繍といった表現方法は導入せず、あくまで”シルクスクリーン”を追求していきたいとのこと。ここで今回のコラボの話を聞いてみると、wanna studioとはあまり交流がなかったという意外なエピソードが。「コラボするまでは、そこまで親交は深くなかったです。ただ、僕らが大阪行った時に、事前に何も言わず急に“スタジオ見させてもらえませんか?”って連絡したことがあるんですよ。その時はPAJA STUDIOができる前なんですが、快く迎え入れてくれて嬉しかったですね。基本的には、BEAMS Tのコラボが決まってから距離が縮んだって感じで、自分たち的にPOP UPで誰かとコラボをするってなった時に、wanna studio一択しかなかったんです。同世代でお互いシルクにちゃんと向き合ってるっていうのもあるし、スタジオの色もちゃんと出ててカッコいいスタジオなんで」。東京と大阪という距離感だから直接会う機会は少なかったようだけど、20代でプリント工房を運営するというインディペンデントなスタイルが、自ずと引き寄せるように共鳴したのだろう。
他のコラボについては「カフェのHOTEL DRUGSに関しては、Atsushiってスタッフの子と毎日くらい会ってて、そこからやりたいねって事で決まりました。後の〈NO ROLL〉とOGAWA YOHEIさんは、単純に自分たちがずっと好きなブランドとアーティストなので」とのこと。そんな話からは、普段から身の回りにいる人&場所を大切にしたり、決してコマーシャルなものではなく自分たちが純粋に好きなものを追いかける姿勢が伝わってくる。最後に、PAJA STUDIOはシルクスクリーンスタジオという役割をどう捉えているのだろうか?「仕事としては裏方だけど、存在としてはどんどん表にでていきたいですね。シルクスクリーンだけにこだわってやっているし、今はあまりポピュラーな手法ではないからこそ、そこをもっと盛り上げていきたいですね」。
— wanna studio —
ブランドとしてではなく
ファクトリーとしての表現
大阪のwanna studioが工房として動き出したのは約6年前。中心人物のコージがスタジオを運営し、以前本誌でも取材させて頂いた前スタジオは、中にミニランプがあったり、仲間同士でダベったりしたりという溜まり場のような場所だ。そこから移転し、今はさらに広い場所で活動している。「以前のスタジオを作った際に、3年以内に大きくなって出ることを目標に掲げていたんですが、ちょうど2年経った時に前のスタジオの規模感などに限界を感じたので、今の場所に移転しました。前と比べて6倍以上の広さになりました。 今も基本的な設備はありますが、この機会で、今後はアパレル以外の分野でもシルクスクリーンを使ってクリエイションしていきたいと思っています」。現在のメンバー構成はオーナーのコージを中心として、グラフィックデザイナーのTetsuと、最近加入したつね。3人とも95年生まれの同い年で、each makesとしても別のメンバーと一緒に活動中。
PAJA STUDIOとの出会いは先ほども書いたけれど、wanna studioはそんな突然の出会いをどう感じていたんだろう?「PAJA STUDIOのTakaからDMが来ていて、最初誰かわからなかったんですけど、突然東京から大阪に 3人で車で来て、シルクに興味があるからスタジオを見たいって言ってくれて。その1ヶ月後くらいに原宿でPAJA STUDIOとして活動し初めていて、早すぎて驚きました(笑)それから暫く経ってこの話を誘ってくれました。西と東で同じようなシーンで似た感性を持っているけど、アウトプットのやり方やセンスが違うので、実際に色々とやってみて、刺激的でした」。
そして今回のコラボ相手にはメンバーのTestu、大阪の南堀江にある古着とインポートセレクトのショップDaily Dose Quality Stuff、rajabrookeの3者をチョイス。「Tetsuに関しては、単純に僕の知る限り同世代で一番クールだと思うグラフィックアーティストだからです。Daily Dose quality stuff さんは、お店でも服を買わさせてもらったりしていて、僕的にオーナーのorangさんのもつセンスというかカルチャーが、頭一つ抜けていると思っていて、その拘りを今回のアイテムに応用させていただければと思い声をかけさせていただきました。rajabrooke さんは普段からプリントの仕事を任させてもらっているんですが、デザイナーの牛田くん独自の観点だったり考え方が好きで、rajabrookeさんとコラボしたら面白いんだろうなぁと思ってこの件を誘わさせていただきました」。そして「ただの工場としてだけではなく、プリントファクトリーならではの観点で発信したり提案することが必要だと感じてます」という言葉通り、デザインにはただのブランドではなくプリントファクトリーとしての想いを投影しているそう。そんなデザインについてはここで語るよりも、実際に手に取って「どんな意味があるんだろう?」と、それぞれが自問自答するように楽しんで欲しい。
– PAJA STUDIO x wanna studio x BEAMS T –
そんな東西のフレッシュなコラボを生んだBEAMS Tには流石の一言だし、ぜひオンラインだけでなくPOP UP SHOPにも足を運んでいただきたい。wanna studioのコージがシルクスクリーンの魅力を「データ上じゃわからない、刷り師の経験・感覚とセンスで、同じデザインでも良くも悪くもできるところです」と語るように、デジタルでは味わえない深くて広い世界がそこに待っているはずだ。
- Photograph_Ryo Sato(paja studio&item)
PAJA STUDIO x wanna studio POP UP SHOP
開催期間:2020年9月18日(金)〜9月27日(日)
開催店舗:ビームスT 原宿、ビームス ストリート 梅田
※同日より公式オンラインショップにて販売をスタートします。
※商品詳細に関しましてはこちらからご覧ください。https://www.beams.co.jp/news/2119/
RECOMMENDED FOR YOU
-
旧友と飲み明かしたヘネシーに
思い出とリスペクトを込めて
– Hiro –2020.08.1
-
知る人ぞ知るパンツの復刻が
スケーターを夢中にさせる
-Lee Pipes-2020.06.20
-
トウキョウの次世代ユースが
身に纏う十人十色のスタイル
-Diamond Supply Co.-2020.04.30
-
スケートボードへの愛と反骨精神が宿る
永遠不滅のマガジンロゴを胸に
VOL.06 THRASHER2020.08.6
-
あたらしい価値観を武器に
ネクストを走る表現者と共鳴
– LACOSTE L001 –
vol.3 AMAMI2021.09.3
-
あたらしい価値観を武器に
ネクストを走る表現者と共鳴
– LACOSTE L001 –
vol.4 Hideyoshi2021.09.7
-
あたらしい価値観を武器に
ネクストを走る表現者と共鳴
– LACOSTE L001 –
vol.2 MOMENT JOON2021.09.2
-
インディペンデントなスタイルの原点
NYストリートカルチャー、ZINEに惹かれて
– BLANKMAG –2020.06.25
-
ずっとこの街で遊べるように
定番の一足から未来を考えて
-STAN SMITH, FOREVER-2021.02.5
-
ビジュアルを通して伝える
仲間の大切さと可能性
– TEAM HARMONY –2022.08.17