いつも相談に乗ってくれる
“東京のオヤジ”のような存在

取材当日、かなりハングオーバー気味でお店に姿を現した賢人くん。現場に到着した直後の「飲み過ぎて記憶ないっす・・・」という言葉から、いつも通りスケーター仲間とお酒を交えた楽しい一夜を過ごしていたことが想像できる。今回案内してくれたインスタント吉祥寺ストアには、上京して一番最初に仲良くなった仲間に連れてきてもらって以来、毎日のように通い続けているようだ。「この辺のローカルスケーターが、みんなこのお店に集まるのがマジでやばいですね。サトルくんが超優しいし。西東京のスケーターは、みんなサトルくんのことが大好きだから集まるんでしょうね」。

“サトルくん”とは、インスタント吉祥寺ストアで店長を務める吉田 智さんのことで、15歳で上京してきた頃から親身にサポートをしてくれている存在。取材当日に新調したデッキをサトルさんと親しげに組んでいる様子からも、単なるショップスタッフとお客さんを超えた信頼関係がひしひしと伝わってくる。「毎日のようにこのお店に来てるんですけど、ずっとサトルくんと話していますね。どこどこのスポットを誰々がやったっぽいよとか、海外のあのブランドのビデオがヤバかったとか。それで一緒に観て、“アツい！”とか言いながら盛り上がるみたいな(笑)」。若手からベテランまで幅広い世代のスケーターが店を訪れ、サトルさんと楽しそうに会話をしている様子がいつもの光景。
それほどまでにローカルのスケーターから愛される店長のサトルさんは、インスタント吉祥寺ストアの存在についてどのように考えているのだろうか？「ローカルを支えるためにここがあるみたいな。みんながスケボーできなくなったら困るので、スケボーできる環境を常に作ることを心掛けています。スケボーに上手い下手は関係ないので、みんなで楽しく滑れればいいですね。このお店をスケボーに行くときの待ち合わせ場所に使ってもらったりとか、終わった後にお店に来てお酒を飲んでもらったり、みんなが集まる場所になれば良いなと思っています」(サトルさん)。スケーターが伸び伸びとスケボーを楽しめるのは、こうやって常にスケーターに寄り添い、環境を整えてくれているローカルのショップがあるからこそ。”人は鏡”って言葉があるように、サトルさんのローカルとスケーターへの愛が伝染する事で、多くのヘッズが集まる溜まり場のような場所になったのだろう。ちなみに、賢人くんが住まいを吉祥寺に選んだのも、このお店ありきだったのだとか。

Tシャツは普段から古着屋や仲間がやっているお店で買うことが多いようで、この日も店内に並んだTシャツを物色。「ヤベー、これくそカッケーっすね！」と、HIGHSOXのライダーYUKI氏が手掛けるブランド<Beerslave>のTシャツをゲット。「このお店は上京した当時からずっと一番近くでサポートし続けてくれる大好きな場所です。Tシャツはどこでも買えるけど、サトルくんみたいに何でも話せて、いつも相談に乗ってくれる人がいるお店で買いたいですね。俺にとってここは東京の実家だし、サトルくんは東京のオヤジです(笑)」。そんな二人のやりとりを見て、信頼する人の客観的な意見が改めて自分と向き合うキッカケになることや、何より”人”からモノ（Tシャツ）を買うという感覚の大切さを、改めて感じさせてくれた。