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STREET NY WITH A-THUG<br>Vol.3 Special Interview<br>for DJ MUNARI

STREET NY WITH A-THUG
Vol.3 Special Interview
for DJ MUNARI

伝説的なHIPHOPユニットSCARSのリーダーとして、川崎から日本中へハスリング ラップを広めたTonyことA-THUG。本連載では、ニューヨークに拠点を移し活動する本人ならではの目線で、煌びやかな街並みとゲトーなストリートが混在するニューヨークのリアルをお届け。第三回目となる今回は、NYをサバイブし続けるDJ MUNARIさんをゲストにお招きし、現地のアーティスト達と制作した楽曲にまつわるエピソードをご紹介。Pt.1は伝説的HIPHOPクルー・Mobb DeepのProdigyについて。

Left:DJ MUNARI、Right:Prodigy(Mobb Deep)

A:今回はOllie magazineでMUNARIさんに取材をしてみようと思います!まず初めに、Mobb DeepのProdigyとの仕事はどんなだったんでしょうか?

M:Prodigyは最初彼らのスタジオで曲を録ったんだよね。Infamous studioっていうスタジオで、 確か建てるのに1億か2億かかったって言ってた。

A:凄いですね、自分達のスタジオ持ってるんだProdigy達って。そこに切り込んだわけですねMUNARIさん達は。

M:そこに行った。で、そんときは、日本人のすっげぇでっかい190cmくらいの二人にスーツ着させて行ったのよ。舐められたくないじゃん(笑)。それでまず中に入っていったら、いきなりG.O.Dがお出迎えしてくれたのよ。

A:おっとおっとー(笑)。G.O.D from Infamous Mobb 。

M:だけどProdigyは最初その場に居なくて、最初エンジニアの人が曲聴かせてくれみたいな。

A:ビートはもう渡してたんですか?

M:ビートは渡してない。で、3曲持ってった内のどれが良い?って言って、 その人が曲をかけたらいきなりProdigyが奥の部屋から出てきたんだよね。

A:いたんすね、最初から!  彼もMUNARIさんと同じで構えてて、ちゃんとシナリオ作ってるわけですね。

M:多分ね(笑)。でも、その時Prodigyがムショから出てきたちょうど後だったんだよね、 結構入ってたんだよ4年か、5年くらい。

A:3年くらい入ってましたよね、チャカで。

M:そうそうそう、それで、出てきた後で全然喋んなくて。バーって出てきて、 普通に首振って、ビート聴いて、すげえDope beatじゃん、このビートでいこうみたいな。 お前良いビート作るなみたいな。本当その一言くらいだったんだよね。

A:おおー、Damn。JAY Zも同じですね。 彼もファンと絶対喋らない、もう2、3言だけ。 でもあの人達くらいになると大物だから、やっぱりなんかこう、決めてるよねシナリオを。 MUNARIさんも同じで。そうめん流して自分とこに返ってくるみたいな(笑)。

M:上手いよね(笑)。自分のプロテクトの仕方を知ってるから、そう見せるっていう。

ノートと向き合い、リリックを書き続けるProdigy

M:ビートを聴いて、「良いビートだな」だけ。そこまで一切笑わない。それで、少ししたらビートをちょっと感じ始めるわけよまず。 そしたら、そのまま無言で奥の部屋に行っちゃって。なんか、Mobb Deepの金庫みたいのが奥にあって、そこの金庫のドアを開けたらノートが超入ってて。本当にあの普通のノートあるじゃん、わかるでしょ?トニーも紙に書くから。ジャポニカみたいなやつが50冊くらい(笑)。

A:裁判書類みたいな(笑)

M:そうそう、それでそん中から何個か持ってきて。それを広げて、立ったままその中の一枚にずっとリリックを書き続けるみたいな。その間は何も喋らないし、座りもしない。途中で腹が減ったって言って若いパシリを呼んで、チーズバーガー1個だけを頼んでたくらい。それで気づいたらちょっと一瞬消えて、奥の部屋に行ってたね。そん時に多分5分くらい 座ってるんだよ。でも俺らの前では座ってるとこ絶対見せない。

A:はいはい。そのー、役者や!

M:(笑)。それで、3.4時間くらいかかったと思うんだよね。面白いのが、その途中に一回 Noreagaのクルーの若い奴らがブワー乗り込んできて、「やばい!」みたいな。 だけど、Mobb Deepのスタジオってカメラが凄いんだ、監視カメラが何十個ってあって、 それでProdigyがそのカメラをパッて見て「ドア閉めろ!」みたいな。

A:なるほどなるほど。

M:その時にProdigyからもらった本があって、 そこにNoreagaのことが書いてあったんだよね。結構彼の子供の頃のことを馬鹿にした内容で。 それで、Prodigyがムショから出ててきてすぐにNoreaga達が乗り込んできたみたいな。

A:本を見たわけだ。

M:たぶんね。まーその時は何もなくて終わったね。Prodigyが曲を作り終えて、G.O.Dもその中に入って出来たわけよ曲が。

A:すげえ!リミックスとかじゃなくてもうMUNARIさんのための曲ですね You great bro!

M:それで、そこにKool G Rapのフックを入れたわけよ。彼の昔録ってたボーカルを結構持ってて、 使ってないやつがあったから、そこの部分を録ってフックにした。 Kool G Rapにこれ使っていい?って言ったら、全然いいよって感じで言われて。それで出した曲が PUSHって曲、みんな聴いてほしい!

A:That’s great!Kool G Rapもここで出てくると。

M:だって一番最初はKool G Rapだったもん大好きだったのは。 やっぱりNYっていったらGangstar rapみたいなのは彼じゃん。Kool G Rapから入ってMobb Deepとか好きになっていくみたいな感じだったよね。

(続く…..)

Prdigyの人生を記録した自伝著書。MUNARIさんがレコーンディングの際に本人からもらった貴重すぎる一冊。

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Profile

DJ MUNARI
2000年代初頭に単身でニューヨークへ移住。ストリートで培った経験をもとに、ProdigyやKool G Rap、Styles Pなど、NYを代表するアーティスト達と楽曲制作を果たす。また、自身のアルバム”下克上”では、日本HIPHOPシーンの名だたるアーティスト達を客演に迎えるなど、国内外で注目を集めるプロデューサー。
Instagram:@djmunari
Twitter: Munari@DJMunari

 

A-THUG
川崎を中心に、年代から日本のHIPHOPシーンを支え続け、今はNYへ拠点を移したTonyことA-THUG。ハードでいて優しさも詰まったリリックは、リスナーの心に最短距離で突き刺さる。

Instagram:@athugscars
Twitter: A-THUG@a_high_044g

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