OTHER2020.05.28
それぞれのスタイルを120%映し出す
○ ○ ○の部屋が見たい !
ROOM 1
海外クリエイターの部屋
VIRGIL NORMAL
Ollie 2019年1月号 Vol.237より
100人いれば100通りの部屋があるけれど、プライベートな空間はなかなか見る機会が少ない分、より“○○○の部屋が見たい!”と思うのが人の性(さが)。ここではOllieが気になった4カテゴリーにスポットを当て、それぞれのスタイルを120%映し出した部屋を覗いてみたい。
広いスペースを贅沢に使って
好きなモノを見えるところに
有名無名問わず、自分たちが純粋に良いと思うアーティストなどと共に、ファッション+αを発信するLAのブランド&ショップ〈VIRGIL NORMAL〉。日本でも高い人気を誇るそんなVIRGIL NORMALの2人が住む、シルバーレイクと呼ばれるエリアに佇む一軒家からスタイルを紐解く。
ROOM DATA
1.居住エリア:LA・シルバーレイク 2.居住年数:10年 3.家賃:ー
4.広さ:ー 5.住んでいる家&街を選んだ理由:このエリアが昔から大好きで、多くの友人たちが住んでいます。少しだけ複雑な場所に建っていますが、私たちが活動する全ての場所から近いのでとても便利です
6.駅から家までの距離:ー 7.部屋のお気に入りポイント:ー
8.部屋の改善したいところ:ー 9.次に住みたい街:ー
10.カッコいい部屋に住んでいる友達:ー
築50年以上の家に
膨大なコレクションを
チャーリー・スタントン(以下チャーリー)とシャーリー・倉田(以下シャーリー)による、VIRGIL NORMALのショップがオープンしたのは、2015年の6月20日。2人の感性をそのままアウトプットしたような、手作り感満載のお店では、U.S.だけでなく世界中のアーティストの作品やアパレルがラインナップされ、高感度なファンから高い支持を集めている。本誌も2年前にお店を訪れ、クリエイティブを刺激するアート性の高さはもちろん、チャーリーのピースフルな人柄に惹かれ、今回はでフォトグラファーとして活躍する(廣永)竜太くんにお願いし、久しぶりに取材をオファー。快く取材を受け入れてくれたチャーリーとシャーリーが暮らすのは、オシャレなエリアとしてでも人気が高く、ショップからのアクセスも便利なシルバーレイクだ。
「私たちの家は1962年に建築家のStephen Alan Siskindによって建てられました。近くの丘や風の吹く道路で、交通状況など関係なく散歩することができ、迷路のような階段が近所の周りを蔓延っているので、とても良いエクササイズになります。それと、1950年代の山奥にある、バンガローからも影響を受けています。特にル・コルビュジエという、スイスの建築家のものから影響を受けました。」10年間住むという今の家と、シルバーレイクを選んだ理由を教えてくれたチャーリーに、家のお気に入りポイントを訪ねると「気に入ってる場所は、グリフィスパークという山とサンセットが見れるパティオ(※中庭)です。友人を呼んでバーベキューをするには最高の場所で、静かにすると近くのグリークシアターという映画会場から、コンサートの音が聴こえてくるのも好きです。コーヒーとiPhoneを持って、このパティオから1日が始まります」と教えてくれた。
開放感のあるリビングは
2人+2匹の憩いの場
今回は主にリビングルームを中心に撮影をさせてもらった中、まず気になったのが一軒家ならではの天井の高さ。およそ400スクエアフィート(日本でいうとおよそ37㎡)のリビングは大きな窓から入る陽の光が最高で、平米数以上の開放感を与えてくれる。そんなとびっきりのリビングルームには、お気に入りのアートや家具を中心に、絶妙な年代のiMacやレコードプレイヤーなどがディスプレイされているディテールからも、ただ単にネームバリューのあるモノを揃えるのでは生み出せないセンスの良さが。アート好きならではの、大量の写真集や書籍をストックした本棚や、二人の好きな黄色の螺旋階段、数えられないほど所有するアナログレコードに、存在感抜群の暖炉。それらの本当に好きなモノだけを置き、収納して隠すのではなく目に入るように〝ディスプレイ〞として統一されているのも、大きなポイントだ。隣接するダイニングスペースも、整理整頓が行き届いた居心地のいい空間になっている。
そんなハイセンスな部屋の参考にしている友人やアーティストを聞くと、「Milton Glaser, Paul Rand, Le Corbusier, Sister Corita Kent, Charles and Roy Eames, Bertoia, Alexander Girard, Verner Panton, Saarinen.」という名前を挙げてくれた。気になる方は、ぜひチェックして見てVIRGIL NORMALの世界と比べてみても面白いかも知れない。
そして、人の生活に欠かせないのが、アレクサンダーとファニーキャッツと名付けられた、双子の猫の存在。「彼らとは356 Galleryという、のアートギャラリーで出会いました。この時ギャラリーでは様々なアーティストを招待して、猫が遊べる楽しい空間とジオデシックドームという、正二十面体の球体で猫が暮らせる空間作りをする、アートショーが行なわれていました。それに、このギャラリーではLAの子猫保護団体が、里親が必要な猫たちを供給していました。クリスマスショッピングのついでにこのギャラリーに立ち寄ったとき、ホリデーで数日間ギャラリーを閉めるので〝週末の間だけ猫を預かって欲しい〞と頼まれ、それからもう4年間ずっと預かっているんだ。今では彼らは、私たちの創作意欲を刺激するミューズで、Virgil Normalのデザインソースになっているんだ。実際にVirgil Normalの全てのシャツの襟裏に、アレクサンダーの刺繍が入っているよ」と、今回のテーマの部屋のことよりも、猫について雄弁に語りたそうなほど、愛情を注ぎまくっている。
丘の上に建つ築50年以上の一軒家で、愛猫2匹と好きなアートなどに囲まれるチャーリーとシャーリーの暮らしは、日本から見ると映画の世界のような錯覚すらする、ひとつの理想的な生活。最後に、定番の日本のファンに向けてメッセージをお願いしてみた。「私たちはあなたが大好きです。早くみんなとパーティーしたいです」。
2人のアート好きな趣向を
部屋と同じくショップにも
Virgil通りとNormal通りに面したところに構えることから、Virgil Normalと名付けられた2人のお店は、部屋同様にアート性の高い作りや商品をラインナップ。2人の人柄も感じる、ユルくて居心地最高なお店もチェックしたい!
多くのアーティストが
ポップアップを行う溜まり場的存在
特徴的な外壁の色と、通りに面した壁一面のガラスがシンボリックで、太陽の光が降り注ぐ明るい店内は2人の家のリビング同様、白をベースにクリーンな印象。国内外から2人の「真実であること、取り扱っているブランドやコミュニティーの関わり合い、地域社会への貢献。商品や物よりも、取り組みや中身を大切にしています」というフィロソフィー(哲学)のもとに選ばれたアイテムを中心に、グラフィックが人気のオリジナルまで、幅広く展開される。ちなみに現在人気なのは、Virgi Normal, Braindead, Monitalyとのこと。
ショップ内で白をベースにしている以外に、部屋との共通点を聞くと「黄色を支配的なアクセントにしていて、サボテンなどの多肉植物で統一している」とのこと。日本だけでなく、いまや世界的に人気のグラフィックデザイナーであるVERDYのポップアップを行ったり、チャーリーとシャーリーの人柄と居心地の良さから、単なるショップではなく、コミュニケーションの場としても大人気。
たまに写真のように、チャーリーのDJを聴ける日もあるらしい。今回撮影をお願いしたフォトグラファーの竜太くんも、たまにお店の手伝いをしているそうなので、ぜひLAに訪れた際は足を運んでもらいたい。
- Photo _ Ryuta Hironaga
- Design _ Akio Saito
Charlie Staunton & Shirley Kurata
チャーリーはデザイナー、シャーリーはスタイリストとして、Virgil Normalを共同オーナーとして2人で運営する。
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